『Selector』『Lostorage』と踏襲してきたシリアス一辺倒の作風を捨ててスポ根・ホビーアニメ寄りの方向性に舵を切った新生WIXOSSだが、過去作に比べるとパンチが弱く「1クールに一つはある美少女アニメ」という評価が自分の中で覆ることは最後までなかった。
WIXOSSというカードゲームを使ったデスゲームを通じて少女たちの苦悩と戦いを描いた『Selector』『Lostorage』から一転、普通のホビーアニメらしい路線になったDIVAだが、よくも悪くもその内容はそうしたホビーアニメのテンプレートをなぞったものになっている。
オンラインゲーム「WIXOSS LAND」の頂点を目指す中でライバルと出会い、バトルで心をぶつけ合って絆を深め、一度は強敵を前に挫折しながらも仲間との絆で再起を果たし、再び強敵に挑んでいく…という筋書きはアニメ・ゲーム・コミックと様々な媒体で我々が何度も見てきたものであり、大きなツッコミどころがない反面、シナリオ的な個性は弱い。
キャラクターに関しても「理論を至上とするインテリ系キャラ」「初心者狩りでポイントを稼ぐ卑劣なプレイヤー」などこちらも既視感があり、スムーズに理解できる反面愛着は湧きにくい。
「Card Jockey」のLOVIT、WOLFやエクス以外の「デウス・エクス・マキナ」など「ちょっと出番の多いモブ」レベルでしか掘り下げられていないキャラも多く、せっかくチームバトルになったのに、あまりチームで戦っている気がしなかったのも残念。
また、バトル描写は『Selector』『Lostorage』よりは増えたものの、依然としてサラッと触れられるだけ。
『Selector』『Lostorage』は前述のように少女たちの苦悩と戦いがメインであり、WIXOSSによるバトルは舞台装置の一つに過ぎなかったため大きな問題にはならなかったものの、本作では「WIXOSSの腕前を競いプレイヤーの頂点を目指す」というストーリー上バトルの内容にも焦点が当たっており、シリーズの「バトル描写はあっさり」という伝統とミスマッチを起こしている。
バトルの描写が最低限故に、「うちゅうのはじまり」チームが自身の理論を語って「君たちの勝率はゼロパーセントだ!」とか言っても全く理解できないし、「No limit」対「DIAGRAM」の戦いや、最終回の「No limit」対「デウス・エクス・マキナ」の戦いなど、キャラクターの成長がキーとなるバトルでも何を持ってキャラクターが成長したのかいまいちわからない。
特に最終回、No limitが戦友から受け取ったカードでデウス・エクス・マキナの攻撃に対処していくシーンでは、劇中のキャラクターたちがNo limitの奮戦を見て「あのデウス・エクス・マキナと互角に戦っている!」と盛り上がっているのに対し、視聴者はカードの能力もバトルの趨勢も一切把握できないので、劇中のキャラクターの盛り上がりについていけず温度差を感じてしまった。
総評すると、決して「つまらない」と切って捨てるような作品ではないものの、面白いかと問われると返答に困ってしまう、普通の作品。
前述したように「1クールに一つはある美少女アニメ」の域は出ていないため、正直原作のカードゲームのファンでなければこれをわざわざ選んで見る必要はないと思う。
「あの『オーフェン』だぞ?90年代の俺らを熱狂させた作品だぞ?」と自分に言い聞かせて視聴し続けていたが、限界。
素直に面白くないのでここでリタイアします。
孤高のチャンピオンに、1クールかけて培ってきた「友情」という武器で挑む、という展開やバトルの勝敗含めて、最期まで自分の予想から外れることのない最終回だった。
最後までこの手の美少女スポ根系の定番を、よくも悪くもなぞっていたアニメだったなという感想。
心根の弱い自分としてはエクセルの身勝手で心を叩き折られたヒラナに誰か寄り添ってやれよと思うし、関係者以外からすれば上位ランカーが下位ランカー呼び出して一方的にリンチしてただけの絵面はスキャンダルにならないのかとか気になることはあるものの、概ね予想通りの展開。
トップランカーにはトップランカーの苦悩がある。
勝手に自分の願いをヒラナたちに仮託して、それを裏切られたからって当たり散らすようにバトルするという身勝手さは、彼女たちもいまだ未熟な「少女」である証か。