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とても良い

鬼夜叉は観阿弥に会い、犬王との初面を許した。彼はお前には限界はあるかもしれないが人には限界はないという言葉を与えた。増次郎は変わらないな…。
様々な準備をする鬼夜叉、二条良基とも会話をし、彼は私一人ではいけないところまで行くだけですと彼に言った。犬王の舞が始まった、彼はここに立てたことを感謝しながら長い手足を使って舞を始めた。彼の舞は客に固唾をのませるほど圧倒的な存在感を放ち続けた。義満も自分が求めていた誰よりも強い花であると認めていた。この舞台には犬王唯一人という熱が冷めやらぬ状況で鬼夜叉は準備をし始めた。そこには千晴、与一、そして石也が舞台に出てきた。増次郎は石也を見て少し喜んでいるように見えた。そして鬼夜叉は満を持して登場。初面を行うと分かり客は盛り上がった。題目は自然居士(じねんこじ)。鬼夜叉はいつだって芸能は未完成、守るため変わらないために変えていく。だからこそ力を貸してほしいと言った。観世座の舞を繋げていく、そのためには様々な形を試さなくてはならない。
猿楽を残したい、遠い遠い世界まで。そんなことを思って動いている鬼夜叉に皆ついていく。猿楽は作り上げている途中で何を残し何をそぎ落とすのか試してみたいと言った鬼夜叉。
鬼夜叉は私はいつか死ぬ、しかし私とともに消えゆく舞では途切れてしまう。表情を落とし体を落とす、私を落とす。そしてつなげる、繋げた先で世界を帰るのだと言った彼の後ろにいたのはいないはずのコガネ。コガネから誰のことも助けられなかったじゃねえかお前に世界が変えられるわけがないといった、しかし鬼夜叉は変えられるといった。コガネに対し鬼夜叉は私の出鱈目話が好きであろうと言った。彼は一歩前に踏み出した。彼の舞は遅く、満ちて溢れていた。より簡素に、より力強く。犬王の舞は犬王にしか舞えない、自分が無くなればそれで終わり。だが、鬼夜叉は自分をそぎ落として舞おうとしている。自然居士にこの舞台にすべてを明け渡す、そこに現れるのは誰でもない。鬼夜叉の舞は続く、歌い、奏で紡がれていく。そしてどこかで舞は始まる。観阿弥や犬王と違うが同じ道だ。あの先はまだ広がっている。鬼夜叉は風となり世界をまとって舞っている。鬼夜叉はどこへ行くのか。義満はこれがお前の花かと言いながら出鱈目な物を見せやがってと言った。
義満はぶっちゃけ犬王の舞の方がわかりやすくて好きと言った、鬼夜叉の奴は客帰ってしまうしわかりにくいんだと言っていた。彼は誰もが夢中になり、誰も帰らせない、誰もよそ見させない、誰もこぼさないのが義満が咲かせたい花なのかもしれないと言ったら、鬼夜叉は笑って自分も同じ気持ちだと言った。私たちがたくさんの人々へこの花を届けなくては。もっと広く遠く、こぼれぬように伝えたい。
どんな場所でも花を咲かせるんだと鬼夜叉。義満はお前は本当におかしな奴だと言い、面白そうじゃねえかと笑った。



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