【一人じゃない】
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その言葉は、これまでの数多ある物語ではヒーローから誰かへのメッセージだった。
【("君は") 一人じゃない】と。
私はかねてからこの言葉には疑念を抱いていた。その言葉で救われる想いもあっただろうが、私には逆に、その言葉を誰かから言われない限り、抜け出すことはできないという絶望を暗示しているようにも思えたからだ。
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本作に登場するスパイダーマンたちヒーローは、自身が皆、等しく孤独を感じていた。
そんなヒーローたちが次元を超えて他のヒーローたちと出会ったことで、仲間がいることの心強さを知る。
【("自分は") 一人じゃない】と。
各々が、ずっと一人で戦ってきたヒーローだからこその悩みがあり、体験や心情的な意味で、誰にも理解されることがなかったからこそ、この出会いは希望だったに違いない。
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しかし本作の主人公・マイルスは、スパイダーマンになったばかりで、他のヒーローたちのように活躍し誰かを救ったという実績もなければ、まだ自分で能力をコントロールすることもできなかった。
同じスパイダーマンだけれども、同じヒーローではない。
その事実が、より一層彼の無力さを、孤独を、彼自身に重く痛感させただろう。
そんな時、マイルスの父からの言葉を受けて、彼は彼自身の中で、覚悟と勇気を見出す。
【("自分は") 一人じゃない】と。
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本作は、ヒーローだから強いとかカッコいいとかではなく、マイルス自身が、"自ら奮い立つことでヒーローになった"のだということが、私にとっての大いなる希望に感じられたのだ。
物語を終えて、ヒーローたちは互いの次元を離れたが、【一人じゃない】という可能性が、この先の彼らにも、そして私にも、きっと胸に残り続けるだろう。
二人の勇者が自分の行動の行く末に配慮が至らなかったゆえに招いた結果を、後始末として痛感したことがきっかけなのか、ドラゴンの時の自分の暴走への後悔なのか、いずれにせよ、尚文は自分の決断や行動の結末をすごく考えるようになった気がする。
メルティが信用ならないと言ったのも、王族だから信用ならないからだろうけど、それでも過去にどんなことをされたかをフィーロに言わなかったあたり、フィーロの中のメルティへの感情を大事に残したんだろうなぁ、尚文は。
もし、自分がいなくなった時に、フィーロはメルティとこの先仲良くなれるかもしれないとか、もしかして考えているのかなぁ。
クラスアップの時にすべての波が終わった後のラフタリアを思って、自分で方向性を決めさせようとしたのも、きっとラフタリアが両親を失った時のことを思えば、そうなのかなって考えてしまう。
今でこそ強くなったラフタリアであっても、尚文は、いつか自分がいなくなったとしても、ラフタリアには強く生きてほしいという願いを感じる。
私の考えすぎでしょうか。それとも、そうあってほしいという私の願いなのかもしれません。
あの二人が登場するだけで、嫌悪感が半端ない、トラウマレベルの憤りを感じてしまう。
王族=悪のイメージが強すぎるからメルティも信じられない尚文の気持ちはすごく分かる。
が、今回は違うのか、違っていてほしい。
漫画だと想像でしかなかったけど、弱った時のかぐや様の普段との声のギャップからくる愛らしさ、マジ半端ないなー!
悪霊か、、、過去に囚われずに生きるって難しいな。
正義か悪か、正しいか正しくないか、1つの側面や1つの時点で見つめていても捉えることはできなくて。
未来になって、目に見えるもの・知りうるものによって、誰かが評価し判断されるものは、それなりの事実として残るけれども。
一個人の主観においての正しさってなんなんだろうね。
「もう以前の自分には戻れない」の言葉の重みに、自分の中の感覚が揺さぶられた心地でした。
テンジンには、人を殺して欲しくないし、傷ついて欲しくないと思わされる魅力があっただけに、もう狡噛と再会することはないのかなぁ?ないんだろうなぁ。
人との別れもまた死別と似たような悲しみがあると思うが、ちゃんとした別れ方ではないだけにモヤモヤ。
テンジンには明るく未来に向かって生きていてほしい。
そして狡噛さん、おかえりなさい。
「すんごーい、どこまでいくのー」には、こっちもニヤケが止まらんかった。
失うことの衝撃とともに、それだけ尚文にとって、ラフタリアとフィーロが心の拠り所であったことを、ついに自覚したわけだ。
誰も信じられないと思い続けていた尚文が、いよいよ尚文を信じてくれた二人を想って、固く決意する。
その決意だけでグッときた。
ようやく、ここまで、本当に、よかった。。