カルタフィルスから振り下ろされた刃を避けずに真っ向から受け止める道を選んだチセ。これまでも誰かの力をあてにするようなことはしてこなかった彼女ですが、かつての遠慮からではなく静かな闘志を秘めての決断でした。
母、智花は幸せな家庭を築きながらも生まれ持った異能に翻弄され夫・息子・仕事とひとつひとつそのかけらを失ってゆき、最後には最愛の娘の首に手をかけることで何もかもを失って儚くなりました。
娘、チセは母の手にかかりかけ元より殆ど何も無かった人生を投げやりに捨て去るところから始まりました。そこから異能の助けを借り伴侶・家族・友人と手探りながらも引き寄せ傷つきながらもここまで歩んできたのです。
対照的な母娘の人生ですが、それぞれの決断や人生に瑕疵があったようには思えません。ただひとつ言えるとすれば、チセには守るものがなく一度捨てた人生だから全てを投げ打って人に尽くすことができたというところかもしれません。
しかし智花も尋常な生涯を過ごしてきたとも思えずチセの行く先にも破滅が待ち受けているのかもしれません。そう考えると同様に何も持たなかったところから生きてきたエリアスが共に生きてくれることは彼女にとってかけがえのない大切なことなのだと思います。
カルタフィルスをも隣人として受け入れる決断を下したチセに残された使命は1度は離れた生涯の伴侶を取り戻すこと。
一刻も早く呪いとの戦いを生き抜く術を勝ち取り、愛するエリアスのところへ駆けつける時を心待ちに次回を待ちたいところです。