ひとりにとって、楽しい思い出なんて今までなかった文化祭だけど、結束バンドのみんなといるとなんだか楽しく思えてくる気がしてた。みんなと出会ったから始まった結束バンドはひとりに色んな新しい景色を見せ続けてくれて、その果ての一つに学園祭ライブがある。演奏を見に来てくれたひとりのファンやきくりたちだって、その景色の一つ。
それに、ひとりの目から見えるものだけじゃなくて、ひとり自身にも新しい景色が映し出されようとしていた。それは、学校ではただのぼっちで陰気なひとりが、本当はすごくカッコいいギタリストであるという姿。最初はギターヒーローとしてネット上で知られるだけでひとりとしては誰にも見つけられていなかった。でも、それが結束バンドのみんなが見つけてくれて、ファンに見つけられて...、そうやって徐々にひとりの内に秘められていた本当の彼女自身の思い、姿が解放されてきて、今もっと多くの人の眼前で後藤ひとりという存在が爆発しようとしている。そんな風にぼっちがぼっちのままでは見ることなんてなかったステージを今見ている。