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良い

一度壊れてしまった彼女たちの物語、そんな幕開けだった。

前の学校でのトラブルから、羽丘に転校してきた千早愛音。彼女は「やり直す」ことを決意に、人間関係も計算しながら渡り歩く。そんな下手なりにも、生きることの上手さを持っている姿を、愛音は感じさせるようだった。

一方で、高松燈もかつて所属していたバンドが壊れて、その負い目を自分自身に抱えていた。そんな彼女が口にするのは、「またダメになるから…、もうやらない」という言葉。そんな燈だけど、かつてバンドのみんなで作った曲のノートを手元に残している姿には、押し込めた本音を汲み取ることができるようにも思えた。

そして、それに呼応するように、巡り合った愛音が燈をバンドへと誘う。そんな愛音は、「一度壊れても、またやり直せばいい」と燈に教えているように見えていた。

でもきっと、それは少し違うのだと思う。かつて燈とバンドメンバーを共にした椎名立希が割って入ったように、燈たちにとって、かつてのバンドはただバラバラに壊れてしまったのではないように思う。それは、大事なピースが欠けて壊れてしまっていたというようなことで、ただ愛音が気まぐれに埋められるような燈の心の隙間ではないように映っていた。

ままならないままに壊れてしまった彼女たちは、元に戻るにせよ、新たに立ち上がるにせよ、ままならずに迷い続けているようだった。



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