何と次のシンギュラリティポイントは15年後。しかも宇宙ホテル。
ヴィヴィは感情のカケラを宿しているように見える。けれども妹に当たるエステラはどうなのか。約束とは誰とのどのようなものなのか。そしてホテルを堕とそうと企むエステラの真意は。
現実の現時点で流行しているAIは深層学習アルゴリズムによるデータ処理が可能なだけで心を持たない。コンピュータサイエンスの分野でシンギュラリティ(技術的特異点)が発生するとすれば、プログラムが心を持つに至ることがそれに該当する。その意味で、現在AIと呼ばれているシステムは真の人工知能と呼べるものではない。ただ、人間にとってすら、心の正体(主体の根源)が何であるかは近代哲学のテーマであり続け、ポストモダニズムを経ても解明されてはいない。ので、AIが心とは何かを探求していくのは逆説的かつ優れたSFの資質を感じさせる。
シスターズであるヴィヴィやエステラはそのコンピュータサイエンス上のシンギュラリティ(心を持つに至る)の境界線上の存在として描かれているように思える。
マツモトは1話で「全ては対話から始まる」と冗談めかしてヴィヴィに言ったけれど、それがエステラを説得する伏線になっていてほしいと思う。けど、そうはならず、ある種の破滅的展開を経て状況を打開しそうな予感がする。