人狼の毛皮、灰の目はとんだ愉快犯だったな。
老いて願いを叶えて穏やかに逝く人と見送る者。
愛すること、悲しいこと。結び付きが強いほど別離は悲しい。そこは人間も精霊も同じなのだろう。ただ、人がその理の中で連綿と生を紡ぎ続けて来て、老い果てることで受け容れることが出来るのに対して、命に限りのない、もしくは存在が曖昧な精霊達にとってはその理(死すべき定め=fatality)を受け容れられるタイミングが来ない。人を愛したリャナンシーの悲しみの深さは永い時に縛り付けられてしまう。それでも会えたひとときだけは悲しくも幸福だったのかもしれない。
妖精の塗り薬を人間が作ることは御法度。また人の伺い知れない理が。