・逃げ出した後に待っていたもの→叱責するミサトの顔が、シンジには影で見えていない=お互いの心が通じてない
黒服に連れられ帰還してからも、シンジは誰にも心をまだ開いていません。
それを表したのが、逆光により影でミサトの表情をわからなくする、あの演出でしょう。
とても圧迫感のある絵面であり、シンジの視点では常に周りの大人があんなふうに見えていることが示唆されていますね。
そりゃ心を閉ざすわけです。
・最初にシンジの心のベルを鳴らしたのはケンスケ! そこへトウジも加わり……。
『自分も母親がいない』と告白することで、最初にシンジの心を動かしたケンスケでした。
ケンスケのファンである自分としては嬉しいところ。
さらに駅での再会で、トウジもシンジに心を開きます。
黒服から逃れてトウジに謝ろうとしたのも、シンジが心を開いた証拠でしょう。
・シンジとミサトが見つめ合い、初めて心を通わせる→ハリネズミのハリが刺さらない距離でのコミュニケーション
ここでの考察しがいのある(またの名をわかりづらい)演出。
自分なりに解釈すると、今までシンジがミサトの顔を見ていなかったのは、上記の考察どおりです。
しかしこの場面でシンジはミサトの顔をまっすぐ、長時間に渡って見つめた=初めてミサトの心に向き合いました。
だからシンジは心を許し『ただいま』と言えたのです。
シンジにとって黒服に連れられネルフに帰還したあとも、ずっと家出が続いていたからこそ『ただいま』という言葉が心を開いた証になるのでしょう。