『けものフレンズ』1期の前史にあたるネクソン版のストーリーを映像化したスピンオフ。ショートアニメとはいえ計3時間弱のボリュームはなかなかのもの。フレンズが誕生するきっかけとなった事件、人とけものが共存していた時代、セルリアンの習性――等、本編アニメではあまり突っ込んで説明されなかった設定部分を紐解くのに重要な要素が散りばめられた核心に踏み込む実質的な解答編といえ、作品世界をより深く理解するためにはマストでしょう。
最終話から直結する社交パーティ当日のエピソード。今後の局面にも関わってきそうな新たな出逢いと共に1期の事件を改めて総括し、久堂の家に嫁いで清霞の他にも美世が得た大切な"家族"の存在を噛み締める。「わたしの幸せな結婚」の題に真摯に向き合い、香耶や幸次にもいつか訪れるだろう未来に思いを馳せる。誰ひとり切り捨てず、丁寧に紡がれた物語が心地よい。2期への期待が高まるばかり。
女の子の可愛さを堪能するため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く不条理日常アニメの極北。中身なんて全くねぇ、落語なんて無関係――と言いつつ(言われつつ?)円盤特典の創作落語は異様に出来が良いわ、『落語天女おゆい』で主役を張っていた後藤沙緒里がメインにいるわで題材への愛もひしと感じる。そうはならんやろな脱線会話をひたすら続けられるのもボケたがりの落語家たちだからなのかもしれない。作者の思想が垣間見える時事ネタから危険なパロディまで、10年経っても古びれないのはひとえに唯一無二のマニアックさ故。ミッキーの声真似する流れが危険すぎてお腹が痛くなるくらい笑いました。