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とても良い

千束と真島の戦いは特に熱くぶつかり合う訳でもなく、千束が付き合ってあげる様な形。決着としても特に勝者はいない。どちらかというとミカと吉松の方がエモーショナルに見える。
そしてその吉松も別に思想が断罪される訳ではなく、「狂わされた」と言っている様にむしろ千束に拘ったが故という形なのだ。第1話の語りといいこの回の真島と言い、一見思想的でありながらむしろそれを空洞化するプロットがなかなか興味深い。(まぁ「良い人同士が殴り合う」という相対主義が優勢に描かれていると言えばそうかもしれない)
ある意味この物語の結末もそうした流れになっている。千束は吉松の代わりになど生きられないし、他人にそうさせ(られ)たくもない。千束ははっきりと表明するが、それでもミカはそうするのだ。
ミカが泣きながら、「狂わされたな」と吉松を撃ち、望まぬ心臓移植を受けさせる、それも本当に「自分の信じた良い事」だろうか? 少なくとも千束の思う「良い事」とは大分乖離しているはずだ。そして恐らく、それによって生かされた事も千束は気づいている、いや少なくとも目覚めた時にはそう思ったはずだ。(「こりゃ死ぬな」などと言ってはいるが、手術痕があった訳だし。)「何しようか、これから」というのこそが本音の様に思われる。これは思うままに生きる物語ではない。それでも何をするのか? 例えば、ハワイへ行く。



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