映像、音楽、演出、どれをとっても文句なし、最高のレゼ編アニメ化だった。期待をはるかに上回る傑作だった。
まず、全体として場面の雰囲気ごとにメリハリがしっかりあった。ギャグシーンはしっかりとギャグ調の演出を入れたり音楽をつけたり、静かなシーンはしっとりとした雰囲気になるように演出や音楽、さらには音がない間の取り方を工夫したりと、切り替えが完璧だった。1期ではギャグシーンやそうでないシリアスシーンでも、テンション的にはそれ程変化はないように感じたけど、今回の映画は違いが明確だった。特に、ギャグシーンのテンションが原作と完全に一致していた、レゼ編の最中のデンジとビームの会話、チェンソーのチェーンを活かして戦えば良いと話している時の2人のバカっぷりが声優さんの演技やキャラの動きによって表現されていて面白かった。
次にデンジとレゼの2人のシーン。特に夜の学校、プールのシーンと夏祭りのシーンはアニオリの描写を入れることでより切なさを引き立てていた。プールのシーンは2人が遊んでいるシーンを補完しつつ、神秘的なような、そして切ない音楽を加えたり、スローモーションの演出を入れることにより、あの2人の時間が特別であることと切ない雰囲気をより強化していた。同じように、夏祭りで遊ぶ2人のシーンも、アニオリで補完することで同様に特別な時間であったことをより印象づけ、花火をバックにしたキスシーンからレゼの正体発覚までの切り替えに夏祭りのリンゴ飴が踏まれて砕ける演出を加えることで、それまでの流れから変わったことを表現する、見事な演出だった。デンジとレゼが2人で過ごした時間を印象づけることで、終盤のシーンの切なさが際立つから、そのための工夫が凝らされていたと思う。
作画面も素晴らしかった。プールのシーンやレゼの顔のアップなどの静かなシーンはMAPPAらしい丁寧かつリアルな作画で、特に雨に濡れるレゼは髪の濡れ具合までリアルに描かれていた。そのMAPPAらしい作画だけでなく、全体的により原作に近いキャラデザになっていたのも良かった。戦闘シーンはやはり大迫力の神作画、とにかく派手で興奮した。映像や音楽が良い意味でうるさく、チェンソーマンらしい、というよりはデンジらしい戦闘シーンになっていたと思う。戦いが進むにつれてその迫力は増していった。このあたりもさすがMAPPAと言った具合の素晴らしい戦闘シーンだった。
レゼを演じる上田麗奈様の演技も最高だった。デンジと過ごしている時の大きな声で笑う明るい少女としての演技も、ボムとしてデンジ達の戦っている時の冷酷な悪魔としての演技も、ラストの切ない独白も、どの場面も完璧に演じられていた。レゼ役が上田麗奈様で本当に良かったと思う。
原作の雰囲気やテンションに忠実にアニメ化しつつ、アニオリのシーンや演出を加えることで原作の良さをさらに引き立てる。本当に素晴らしい映画化だった。この映画を劇場で見ることができて良かった。