あまりにも完璧で感謝の気持ちがあふれてくる。「大好き」の二者択一を迫られても、思い切ってどちらもやる、第3の選択肢がある。
これまで、スクールアイドルとしてやりたいことと、生徒会長としてやりたいことをどちらもやるために、せつ菜と菜々を使い分けていた。「生徒会長とスクールアイドルは全然違うもの」という発言のように、生徒会長のときは生徒会長として模範的にふるまい、スクールアイドルのときはスクールアイドルとして夢を与える。生徒会長でいるときに、スクールアイドルとしての大好きを表出してしまうのは、生徒会長としての自分を期待してくれる周囲に対して申し訳ない、という気持ちがあったのかもしれない。
第2回SIFのキャパシティに関する問題に直面し、スクールアイドルとしてSIFを実現することと、生徒会長として文化祭を実現することの両立が危ぶまれた。生徒会長としての菜々は、SIFをやりたい気持ちを押しとどめて、生徒全体のために文化祭の優先を即決する。しかし、生徒会長としての菜々のまわりにも、スクールアイドルとしてのせつ菜のまわりにも、理解してくれるひとはたくさんいる。ひとりで思い詰めて同好会を廃部にしようとしたあのころのせつ菜とは大きく状況が異なる。「始まったのなら、貫くのみ!」 1期12話で歩夢の背中を押した言葉が、せつ菜の背中を押す。感涙。このセリフ2期のどこかで使われるだろうと想定してはいたが、ついに来たか……!となった。
SIFと文化祭をどちらも実現させる目途がついたことで、菜々とせつ菜どちらの大好きも諦めなくていい、と再確認するとともに、菜々=せつ菜の公表の決心がついた。
実際のところ、生徒会長としての菜々がせつ菜でもある、ということを理解してもらえる素地は以前からできていたと思われる。あとは、菜々=せつ菜本人の決意次第で、そのきっかけが第2回SIFだった。考えすぎかもしれないが、SIFと文化祭を合体させてひとつのイベントとして開催することが、せつ菜と菜々をひとりの存在だと公表することと重なって見える。
A・ZU・NA曲はそれぞれのメンバーの個性が強く出ていてとても良い。特に今回は、せつ菜が直面した状況にピッタリの歌詞で、思い切って全部choice!という気持ちになった。
せつ菜=菜々が自分の大好きを見事に体現する様子を見て、栞子は何を想う……?