「そう、私は、世界一幸せな女の子だ——」
悪くはなかった。
悪くはなかったんだが、いろいろと回収しきれてない部分も大きかった印象。結局《獣》って…《人間》って何だったんだろう。
結婚のくだりはちょっと話がすっ飛んだような気もした。
「生存、戦略ーーーーー!」
始めから終わりまで
家族/恋人/友人/運命/愛/命
つながるようでつながらない
つながらないようでつながっている
桃果と苹果
冠葉と晶馬と陽毬
はじまりは、16年前のあの日——
「だからさ林檎は宇宙そのものなんだよ。 手の平に乗る宇宙。この世界とあっちの世界を繋ぐものだよ」
「あっちの世界?」
「カンパネルラや他の乗客が向かってる世界だよ」
「それと林檎になんの関係があるんだ?」
「つまり、林檎は愛による死を自ら選択した者へのご褒美でもあるんだよ」
「でも、死んだら全部おしまいじゃん」
「おしまいじゃないよ! むしろ、そこから始まるって賢治は言いたいんだ」
耳が聞こえず話せない少女とそれをいじめていた少年、人間関係がドロドロ渦巻く中で「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」を描いたもの。
高校生になった登場人物たちの各々の想いや悩みがとてもリアル。
聴覚障害が云々じゃなくて、それよりも、主人公の男の子をメインに"人と関わって生きること"みたいな内容なのがよかった。
「気持ちを伝える方法は声だけじゃない」