人の悪いとこも、良いとこも全て等しく描かれているとこがやっぱ好き。
みんな本当は仲良くなりたいだけなんだけど、幼さ故の無知と無邪気さのせいで上手く関わり合えなくてという小学校時代。
そして、再会した後の高校時代では、あの頃から変わらない感情や関係と、月日を経て変わった感情や関係の板挟みで本音が出たり出なかったりで。それもまた上手く関わり合えない理由になっていた。
それを乗り越えたのは、石田をきっかけにしたそれぞれの変化。過去を受け止めて、今と真正面から向き合おうという意識。それが再び欲しかったみんなとの時間を取り戻すことに繋がったのだと思う。
風刺であることを前提として、時代の価値観をもって望むべき。
現代と過去では違う。
見てる時ずっと心がジンジンして感情移入してた。泣けはしないけど、感動は出来る良作品。
1年ぶりに映画館で
小学生くらいの子どもにとっては特に聴覚障碍者というのは未知の存在で、自分も硝子の行動の意図を時折図りかねる時があった
聴覚障害者だからか人一倍誰かと仲良くなりたがっていて硝子が他の人の行動の尺度と違っているのかもしれないと思った、例えば悪口の書かれた筆談ノートを大切そうにしていたことだったり
でもこれは硝子に限らず、いじめの加害者ということに囚われた将也や被害者の家族ということに囚われていた結絃や母やその他の登場人物も何かしらの考えに囚われていた
そして、そういった縛られた思考のフィルターと照れや後ろめたさ、建前などによって本音を隠してしまうことが重なってしまうとすれ違いはより決定的で元に戻れないものになってしまう
この物語では小学校での出来事が元に戻れないきっかけとなったが、その後加害者と被害者の立場が逆転する事件が起きて、それを経て幸か不幸か元に戻ることができた
立場が逆転することで互いの壁、フィルターを破ることができた
一番好きな場面に最後の上野が硝子に「バカ」と手話を送ったとこがある
それを愉快そうに受け止めた硝子は気の使わない、ある意味聴覚障害者という壁を突き破ったフラットなコミュニケーションを特別に思っていたように思える、もちろん親切に優しく接されたりサポートされることも硝子にとって嬉しいものであっただろうことは言うまでもないと思うが
障碍者じゃなくとも他人との間には色々な壁があるし、そういったものを乗り越えた向こう側の想いを想像してみる、佐原が劇中で言っていたように見方を変えてみることがこの129分から得られるものの1つだったと思う
・果たして罪人は許される日が来るのか?→現代日本における犯罪者に対する過剰なバッシングともリンクする作品
すごく現代的な題材の作品ですよね。
罪を犯した側の少年を主人公にし、その贖罪の物語を描ききる――圧巻でした。
・まわりの人はみんな『✕マーク』だらけ→『✕』は『罰する人々』という意味か
これが映像演出として効いているんですよね。
最初✕マークだからの学校を見た時はゾッとしました。
・永束くんがいいキャラ!→ちょっとクサイところもあるけれど、言っていることはすべてまっすぐで正しい
『かつてイジメっ子』にして『イジメられっ子』だった将也。
そんな将也を救う存在として、永束くんはとてもいいキャラでした。
・西宮もまた罪の意識に悩まされていた→罪を背負いあった二人
『イジメで西宮を傷つけてしまった』将也と『自分のせいで全てが壊れた』と悔やむ西宮。
そんな二人が終盤の展開を乗り越え、やっと友達になれたシーンにはホッと安心しました。
『壊れてしまったものを治すため』駆けずり回る西宮の姿にまた涙です。
・✕マークが剥がれていくラストシーン→『もう罰する人はいないよ』と言う許しと涙。自分の中で一番美しいラストシーン
こんなに美しいラストシーンがあるのか、感激しました。
罪は償えば許される、過去に罪人であっても、幸せになっていいんだ。
そんな制作側からの強いメッセージを感じました。
うまく言えないけどいい作品だった
「人間」というものを、とくに人間の「負の面」をとても丹念に描いた作品だと感じた。「いじめ」や「障害」を要素の1つとして内包している以上当たり前なのだが、人間の汚さ、誰もが子供時代に持つ無自覚の残酷さ、綺麗事では隠しきれないエゴ、そしてそれらをひっくるめた「人間の不完全さ」を、あえてほとんど美化することなく描いている。
どんな人間にも嫌いな人がいて、簡単には乗り越えられない一線がある。現実世界ではあたり前のことだが、描くことの難しさからフィクションでは(作り手から)避けられがちな題材だ。
しかし本作はこうした人間の「負の面」を描きつつも「ただドロドロさせて『リアル』を謳う」ような安い作品とは違い、将也や硝子ら登場人物が前を向き、壁にぶつかり、難しい問題に向き合いながら変わっていく姿を描くことで、ご都合主義を排した「リアルさ」を持ちつつも純愛系の作品として高い完成度に仕上げている。
シナリオは序破急の構成がしっかりしていて特に不満なし。登場人物は皆「いいひと」ではなくどこか問題を抱えた人たちばかりだが、それが逆に物語のディテールを深めていて、観客の興味をそそりつつ、「どうやってこの状況からラストに持っていくんだろう?」とどきどきさせてくれる。
メインキャラクターは誰もが問題を抱え、つまづき、苦しむため見ている間は心が締め付けられるが、それだけに最後に迎える大団円のカタルシスはひとしお。
箸休め的なコメディ・日常シーンも要所要所に用意されていて、シナリオに突っ込みどころは殆どない。
ビジュアル・音楽も素晴らしく、特に硝子役の声優・早見沙織の聾唖者の演技は「声優ってすごい」と驚くしかなかった。
基本良作と言って良いクオリティではあるが、不満があるとすれば、やはり全体に「展開を圧縮した痕跡」「原作を削った痕跡」が幾つか見受けられることだ。
この手の原作付きアニメ映画にありがちな急ぎ足感は少ないものの、やはり各所で「あ、ここ原作だともっと尺を割いてるんだろうな」と思わせる「痕跡」が残ってしまっている。実際、原作の重要なシーンが削られているらしい。
ただ、この「欠落」のお陰で「原作ではどうなっているんだろう」という興味が湧いたので、販促という点では間違っていないのかもしれない(笑)。
また、わざわざ「痕跡」と表現しているようにこれらは致命的な問題ではなく、決して総集編映画的な「強引・唐突なシーンの接続」があるわけではない。あくまで「強いて言えば、ここがイヤかな」といったレベルの話だ。
また、登場人物は基本魅力的だが、川井だけは別。川井自体は現実にもいそうなキャラクターではあるのだが、彼女だけ「小学校自体硝子へのいじめに加担しつつも、八方美人を演じて逃げ切った」という罪に対して罰が下されておらず、本人がそれを「悪いこと」と認めるシーンもないため、彼女だけは「かつての罪をうやむやにされている」ように感じて消化不良感を感じた。もっと言えば、彼女だけが将也や硝子、直花のように「壁を乗り越えていない」。
無論、ラストシーンでは将也に対して償いの行動を見せているのだが、ここはもう少し掘り下げても良かったんじゃないかと思う。個人的に彼女に対する心象は悪い。
総合すると、前評判を裏切らない良作。多くの人に見て欲しい素晴らしい作品。原作のコミックも読んでみたい。
なにやら評価が分かれてますが個人的には非常に良かったです。キャラクターに散々イライラさせられましたがそれがより現実味を帯びてますね。結局主人公君も西宮と似ているが似ていない様な形で「聲」が聴こえなかったという…
キャラがとても良かったなーー。イラつく人多数!!笑
けど、ホントに人間味たっぷりなキャラがたくさんでした。
いい意味でもう二度と見たくない映画。
原作読んでたからあっさり感はあったけど、いじめの胸糞悪さだったり学校の世界の狭くて息苦しい感じはひしひしと伝わってきた。
硝子の周りに合わせながら、葛藤しつつ、気丈に振る舞ったり諦めたりしている様子を演じたはやみんすげーわ。