こよみは燈子の人間性について表の顔だけじゃ判らないことがポイントかと分析していた。その言葉をなぞるように、今回は表と裏がはっきりと分かれていた回だったように思う
冒頭から燈子は倉庫に侑を押し込んでしまう。人の視界から隔絶されたその場所は限りなく裏の世界。だから燈子は人の目を気にすること無く侑に甘えるしご褒美だって求めてしまう。裏の世界だから侑だって燈子を甘やかしてしまう
しかし、体育祭が始まれば燈子は頼りになる生徒会長の顔になるばかりか、バスケ部と競い合う姿を見せる。それは表の世界であり、青春に溢れた光景。侑も釣られて表の顔をしている燈子を応援してしまう
侑は槙に対して自分の想いや抱えていた葛藤を明かす。槙も同様に自分に恋愛感情がないことを明かす。想いを共有する二人は互いを理解し、自分を理解された気になるけれど最後の最後で槙は自分と侑は違うと感じる。
槙はあくまでも自分に恋愛感情が無いために人の恋愛を眺めることを楽しいと感じるタイプ。対して侑は自分に恋愛感情が無いために不安になっていた所を、燈子によって受け入れられたために安心したタイプ
二人は表の部分で共感できても、その裏に秘められた部分では異なる想いを抱く
都が燈子と沙弥香の二人を見て、すぐに沙弥香の想い人が燈子であると気付いたのは沙弥香の裏を知っているから。同時に燈子が厄介なタイプであるとすぐに見抜けたのは、彼女が喫茶店の店長として話し相手となる中で多くの人の表や裏の顔を見てきたからかな?
そして、倉庫にて再び燈子と侑は裏の世界に入るのだけど……。結局、侑はご褒美である自分からのキスを実行しない。それは表向き侑は燈子を好きになれないからだ。その表を維持しようとするのならば、侑からキスするなんて間違っている
けれど、侑が今も心の全てで燈子を好きになれずに居るのかといえばそんなことはなくて。速まる心臓の音は決して自分のものではないとごまかす侑の裏側で燈子への想いが日増しに強くなっていることが感じられた話だった