今回はコードギアス新作を待ち望んだ多くの人の声に応えると共に同時にアニメ本編でルルーシュが土台となった平和な世界に疑義を呈す内容になっていたように思う
そもそもルルーシュはブリタニアが作り上げた世界への反逆として活動を始め、より多くの人が望む別の平和を作り上げた。けど、ありとあらゆる人が納得した平和ではない。今回対立したジルクスタンはそういった国であり、シャムナはかつてのルルーシュと同じように強者が作り上げた平和によって排他された弱者を彼女なりの方法で救済しようとした。相手の思惑や状況を飛び越えて世界や人々を操るシャムナは正にルルーシュと似たような存在だったわけだ。
それにしてもシャムナのギアスはメタ的にも面白いものだったね。死ぬことで過去に戻り采配を振り直す。これって視聴者的には昨年から続くコードギアス企画をまるでなぞっているかのよう。TVアニメでルルーシュは死んで終わった。それが総集編の形で再び描かれ、その中で話の取捨選択が有ったが最大の違いはシャーリー生存。これが分岐点になり映画ではシャーリーの存在がルルーシュ復活のキーとなる。
TVアニメからは決して成立しないルートだけに正にやり直した印象が強い
そして映画上ではTVアニメではやれなかった事が様々な形でやり直されている。
スザクはTVアニメでルルーシュの共犯者となってしまったがために、ルルーシュ死後の世界を全て押し付けられた不条理をぶつけることが出来なかった。それがルルーシュ復活によりその不条理をぶつけることが出来た。
ルルーシュは平和な世界の土台となったが、どのような平和が作られたかは知らない。それが神楽耶のアシストによってその一端を知ることが出来た。又、敵味方を問わず大勢の命を犠牲にした人間でもある彼は本来なら謝罪した上で断罪されなければならなかった人間。それがコーネリアとの対話の中でゼロの仮面を外し謝った上で、命令の形ではなく願う形で協力依頼する姿は良かったな
TVアニメでは視聴者のヘイトを集めた扇。一時は日本のトップになった筈の彼が一兵士の形で作戦に参加し、更にはルルーシュに謝ったのは意外だったなぁ。何と言うかあのシーンで扇は許されたような気がする
ナナリーはTVアニメラストの瞬間までルルーシュの真意を知らないままに過ごしていた。それが復活により、全てを知った上で再びルルーシュと会話できたのは良かったね。そして今度は互いが納得した上での別れ。この描写によりTVアニメラストで唯一悲しい想いをしたナナリーが救済されたかに思えた
そして彼女の為にこの映画は制作されたのではないだろうかと思えるのがC.C.。TVアニメではルルーシュとの「笑って死なせてやる」という約束は果たされないまま。それが形を変えて映画で果たされたのは感慨深い。
ルルーシュはC.C.と同じ不死となり、名前もL.L.と変え、二人で歩んでいくことになった。不死である為に孤独を強制されていたC.C.の生き方は変わった。もし終わりが訪れるとしても最後の瞬間にルルーシュが居るならば、きっとC.C.も笑顔になれるだろう。それが垣間見えるようなC.C.の喜びの表情はこの作品の最後を締めくくるものとして相応しく思えた
やり遺したことがやり直されたこの映画を見れたことは、TVアニメ放送当時、本作に熱中していた自分としてはとても喜ばしいことであり、改めてスタッフの皆さんに感謝の言葉を送りたくなった