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とても良い

相手と同じと判れば安心するし、違ったら不安になる。一方で違いが在ることに喜びを見いだせたりもする。そんなことを感じさせた回だった

紅葉に夢中になるどろろ。これまでと同じだけど独りじゃない秋はどろろにとっていつもより美しい
どろろが一方的に話して百鬼丸が相槌だけなのはいつもの光景だけど、百鬼丸はもっと聞きたいと言う。どろろは百鬼丸が変わったと嬉しそう

三郎太は百鬼丸の腕を見て妖怪に酷い目に合わされたと考える。三郎太にとって妖怪の恐怖を味わった人間は自分と同じで仲間だ。そういった人間を見れば安心できるから笑みも浮かぶ
また、三郎太は鵺に並び立つ。鵺に襲われた際に誤って母を切り、更には仇討ちを手伝おうとした村人を犠牲にしてしまった。恐怖のあまり人を死に追いやった彼は人間的ではない。
しかし、彼は他人が妖怪に恐怖する姿を見ることによって自分の行動には問題はなかったのだと一時の安寧を得ることが出来てしまった。更に自分は妖怪と並ぶ存在であれば内側の空虚さから目を逸らす事も出来る

岩に手が挟まったどろろを助ける際、百鬼丸は岩を腕で押そうとする。しかし、彼の腕は本物とあまりに違う。全力で押そうとすれば腕が壊れ、壊れてしまえばもう押すことは出来ない。琵琶丸が来なければどろろは助けられなかった
本来あるべき腕とは異なる偽物の腕によって絶望を突きつけられた百鬼丸は本物の腕を取り返すために鬼神退治に向かう

三郎太からすれば恐怖せずに鵺に立ち向かい刃を振るう百鬼丸は自分と全く違う存在。そんな物を見せられれば、自分が本来何に成りたかったのか、母を守れなかった自分は何をすべきだったのかを見せつけられてしまう。しかし、今となっては何もかも遅すぎるから三郎太は鵺に喰われ、本物の妖怪になる道を選ぶ
鵺に並び立っても退治されなかった三郎太はここに来て、ようやく百鬼丸から退治される対象になる。だから百鬼丸も三郎太が伸し掛かった際には何もしなかったが、妖怪化した後は「返せ」と三郎太に言い、刃を振るう

鵺を倒したのに身体を取り戻せなかった百鬼丸。それすらもいつもの鬼神退治と異なる現象。その激情のまま醍醐の里へ帰郷の為ではなく略奪の為に向かうことに
魂が赤くなり、妖怪化した三郎太から人ではないと言われ、人で有りながら人では無くなりつつある百鬼丸。どろろはいつもと違いすぎる彼を止められるのだろうか?



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