笑顔を続ける行為って心の強さの現れだと思うんだけど、ではその笑顔を保つためにどれだけの頑張りが隠されているの?という話
いつも笑顔という点では紅葉も透も同じ。更にその裏にとても大きな哀しみを持っていたという点まで共通している
一方で二人はその辛さをただ苦しいとするのではなく、明日へ進む糧としているように思えた
紅葉は学校でドロケイするくらい天真爛漫で明るい少年。その笑顔は自分を忘れた母を前にしても変わらない。
紅葉は自分を産んだ母がどれだけ絶望しただろうとか、母が味わった辛さを語る。そういったことを想像できてしまう。過去には自分を忘れさせる治療法も受け入れた。それどころか記憶を失う直前の母が、紅葉の記憶が無くなることを惜しむよりも紅葉を産んでしまったことを人生最大の後悔だと言うシーンを見てしまった
それでも紅葉は自分を忘れて元気になった母の前で笑顔を保つ。そこにある強さはどれだけのものなんだろうね…
でも、やっぱりそこには寂しさはしっかり有る訳で。窓ガラスから自分の居ない家族の光景を眺めていた紅葉は、その光景から目を背けるように座ってしまう
きっと、紅葉は母を助けられた達成感と母と親子として過ごしていた頃の思い出が胸にあるから、それを力として笑顔を保てるのかもしれないね
透は大好きだった母を亡くしてまだ一年しか経っていない。それどころか幼い頃に父まで亡くしている。その環境は端から見ればとても辛いもの
でも、透はいつだって笑顔。それは無理をしたものではないから周囲の者を元気づけることも有る
その明るさは命日でも変わらない。透だけでなくありさも咲も墓前で楽しそうにしている。これは今日子の前では笑顔で騒がしく過ごすことが何よりの餞になると知っているからなんだろうね
でも、それでも家族である透が今日子を喪った一番の辛さを知っているはずで
母の遺骸に対面した透は泣き崩れていた。その時の絶望はきっと無くなったわけじゃない。それでも今の透は笑顔。今日子を喪っても今日子との楽しい日々を忘れずに日々を過ごしているから、笑顔を保てるのかな?
辛さを隠すという意味では夾も同様。今日子に対して悔いる気持ちが有るけど、それを透の前で出したことはない
透が寝ていることを確認し伝わらないと知ってから「御免な」と伝えた夾。夾の表情の裏に隠れている感情はどのようなものなのだろうね?