雪ノ下母の登場に拠って試される雪乃の成長と比企谷の覚悟
その裏でひっそりと零れ落ちる結衣の涙
三者三様の有り様に受ける衝撃は相当なものでしたよ……
雪ノ下母は相手の意見を潰す力に長けた人物で有るように思えた
陽乃のちょっとした意見を強く否定した事に始まり、雪乃には父の知り合いを、いろはにはSNS以外の表に出ない意見をぶつける
どれも反論が難しい正論であり、雪ノ下母に正論で立ち向かおうとしてもそれ以上の正論に拠って意見はあっさり潰されてしまう
正論は状況を決定させてしまうから誰もが大切に扱う。
平塚は離任が決定するまで口には出せなかった
雪乃は自分達の関係性を知っているから比企谷の協力を頼れない
比企谷もここで雪乃が一人の力でやる意味の正論を理解できるから口を出せなくなる
正論でも理詰めでもこの事態は解決できないし、雪乃を助ける正当性も得られない
平塚に促される形でどうにか比企谷が捻り出した約束の言葉。それは事態解決には役立たないし雪ノ下母を納得させる正論にもならない
でも、あの約束は比企谷の足を学校に戻させる「本物」の理由になる
そして結衣が……
彼女はこれまで自分の悲しみを隠してきた。だというのに比企谷が雪乃を助けに行くと知り耐えきれなくなった。それでも結衣は涙を悲しみに拠るものである点を隠した
雪乃の「本物」の親友なら笑顔で送り出す
比企谷に「本物」の恋をする少女なら涙を止めない
「偽物」の感情で「本物」を隠せなくなった姿があまりに悲しい……