長瀬麻奈という強烈なアイドルの存在が多くの人物に影響与える本作
最近はそこから脱却して自分なりのアイドル像を求める話にシフトしていると感じられるのだけど、今回はそれが顕著だったね
また、長瀬麻奈を琴乃にとって大事な『お姉ちゃん』であると規定し直した点は素晴らしかった
麻奈の存在を教えられた琴乃は一応信じつつも麻奈には会おうとしない。それはアイドルとして目指す夢を明確に出来そう道の途中だから。これは麻奈がさくらの歌を邪魔しないのと同じ理由だね。まずはアイドルとしての形を優先させるもの
それに対してさくらはアイドルではなく姉妹として会わないかと導いている
だからか、琴乃が始めたのは長瀬麻奈の足跡探し
莉央からアイドルとしての長瀬麻奈、日記から姉としての長瀬麻奈
莉央からは人の心を揺さぶるアイドルの力を知った。日記からは暴言を吐いた自分を気に掛ける姉の愛情を知った
そして牧野との会話にて長瀬麻奈とどんな話をするのか、心を固めたのだろうね
琴乃が選んだのは会話ではなく報告
アイドルの麻奈と交わす言葉はアイドルを目指す途中の琴乃にはまだ足りない
でも麻奈の妹として、そして死んだ姉に向けての言葉は自分がこれからどう歩んでいくかと報告したい事が有る
そんな琴乃に対して言葉を交わすこと無く「それで良いんだよ」と抱きしめた麻奈の姉としての優しさがあまりに尊い……
今回対戦相手となった莉央の心情描写も良かったね
お金の為にアイドルを始めた彼女が麻奈に出会い、アイドルとは何かを知った
莉央は麻奈にこだわりつつも、それを最終目標とせずに麻奈を超えた先にあるアイドル像を目指している。だから月のテンペストに負けても朗らかで居られるのかも知れない
負けた後に「楽しかったよ」と言った莉央が本当に良い
そして決勝戦は星見プロ同士の戦いへ
長瀬麻奈に関する因縁から始まった始まったアイドルの卵達の物語。それがこうして長瀬麻奈に絡みすぎた要素を少しずつ解きほぐし、アイドルのプライドを戦わせる物語となった
それがどのようなステージとなるのか、しっかりと楽しみたいね