色々な意味で超展開
夾とは擦れ違い、凶刃を携えた慊人が迫る極限現状。そんな状態だから却って見えてくるものも有るのかもしれないと思えた
慊人の本当の心、夾が大切にしたい存在、そして……
小刀を向けて震える慊人の姿は恐ろしい。けれど一方でその言葉には駄々っ子のような弱さも見えてくる。また、大切な存在から置き去りにされる寂しさがこれでもかと見えてくる
そういった意味では透と慊人は似た部分がほんの少しあるんだよね。母に行かないでと言えなかった透も置き去りにされる寂しさを知っている
そんな透の言葉を前にしたから慊人もずっと隠してきた本心が口から出てしまったのだろうね
そうして耐えきれない程の寂しさを自覚してしまったから、透に差し出された手の尊さにも気付いてしまう。
慊人はこれまで十二支と神の絆によって寂しさを紛らわせようとしてきた。透が差し出したのは無償の愛。これこそ慊人がずっと欲してきたもの
透が崩れ落ちる展開は唐突
でも、似たような事は慊人の周りで何度も起こってきた。父の死、絆の消失、紅野への刃…
理不尽は唐突にやってくる。それに対し、今度は「助けて!」と言えた。きっとこの瞬間に慊人は変われたのかもしれない
だから紅野や透が示す馬鹿みたいな優しさに自分が包まれていたのだと気付ける
唐突に奪われる理不尽とそれを癒そうとする馬鹿みたいな優しさを理解できたなら、行動を変えるきっかけになるのかもしれない
一人でお見舞いにいって、そして透の差し出す手を掴むために彼女に会いに行った慊人の姿はまるで憑き物が落ちたかのよう
慊人は変わった。同じように唐突に奪われる理不尽を感じた筈の夾は変われるのだろうか?