大攻勢、急襲、モルフォにより迫る確実な死を前にして、死をどう受け止めるかという点が描かれているね
誰も彼も死を受け止めきれないから憎しみの対象を必要とする。その中で憎しみより誇り有る死を口にするシンエイ達はやはり異様に映る
敵を憎んでも意味を成さないなら身近な異質を憎むしか無い。かつては哀れな被害者とされていた86が今では化け物と呼ばれる哀しさ
ニーナの手紙、仲間の恨み節、罵声、更には死者の声……。前回は戦いに呑まれ、狂い始めたように見えたシンエイが実はそれらによって追い詰められていた側面も有ったと知れる描写は強烈
それだけに死国へ近づく彼を引き止めたのがレーナの声であったのは本当に良い流れに思えた
スピアヘッドの仲間達の声は誇り有る死を願う死神を肯定しても、生に引き止めてはくれない。かといって既に居ないレーナの言葉はシンエイを生かしてくれないし、戦場から逃げられる訳でもない
だから「さよなら」するしかないか……
憎しみの環境にて他者を恨まず、憐れまれるより恨まれる方がマシだと激怒する86達は異質と言う他ない
でも、幾つもの死に背中を押され生き残ってきた彼らは既に止まれない処まで来ているとも言えるのか
何時になく激しい口調になって理想を語ってみせたシンエイの姿にはハッとさせられる
でも、彼らが自身の異質さを受け止めきれていない部分が描かれているのも良いね
シンエイが声を荒げてしまった姿もそうだし、セオトが何でも「86だから」で済まされる事に寂しさを覚えてしまったのも
死地を抜けた筈が別の死地に赴く羽目になったスピアヘッド。何とかしてレーナと再会する道はないものか……