早々に鬼を倒してしまうなんて妙な展開だ…と思っていたら、それ以上に妙な展開に突入して仰天したよ!
流石に彼女の存在がまやかしとは判れども、夕凪の狙いが判らない。嘘偽りが跋扈する夢幻の世界。そこでは多くが嘘にまみれているから何を信じたら良いかも曖昧とさせる
でも嘘であるならば、嘘の奥には真実が在るとも言えて
嘘を操り甚夜を惑わす彼女が伝えたかった真実にほろりと来る話でしたよ
夕凪は甚夜との馴れ初めを嘘として話した。それはまるで甚太が白雪に伝えたかった言葉のように思えるけど、現実には伝えていない以上は嘘そのもの
嘘であるなら意味は無い筈が、彼女が言葉にした事で甚夜が思わずそういったシーンをイメージしてしまったように、彼が見ないフリをしていた想いを露わにしてしまうものだね
また、親密に接する彼女の姿は甚夜が大切に出来なかった奈津を想起させるもの。夕凪が嘘だから夕凪でない存在をそこに見てしまう
夕凪は嘘だから夕凪という女性を見る必要は求められてなかったのかもしれない
けれど、甚夜は夕凪という短い時間しか存在しない幻のような姿をしかと見た。その上で自分が守れていれば存在したかもしれない幻を認められた
甚夜は嘘を嘘とせず、真を己に見出した。だから彼女も最後の時間にほんの少しの真を混ぜられた
永い時を生きる甚夜に託された小さな命。人と家族的な繋がりなど持てないと思われていた甚夜が拾った掛け替えのない真実。甚夜の言葉に籠められた優しい嘘に胸が温かくなってしまったよ