ああ…、ソルコクタニは残酷に聡明な女性だね。モンゴルが生き残る為に世界を知り、子孫へ受け継がせようとする彼女は未来のモンゴル皇后としてこの上ない人物。けれど、それはモンゴルにとってのみ
彼女は『原論』がどのような積み重ねで本の形になったか、本がどのような背景で届けられたか、『原論』を読めるシタラがどのような想いでそこに居るかを想像しない
それは残酷なまでの征服者としての在り方。智識の体現者だとしても、シタラの味方となる事はなく、結局ソルコクタニもシタラの復讐相手となるか…
けど、シタラという奴隷少女一人が為せる復讐などたかが知れている。いつしか時は経ち周囲の奴隷はモンゴル生活に慣れ、チンギス・カンもシタラと無関係に死んだ
なら、世の中もシタラの想いとは無関係に進む。そこから弾き出されないようにするにはモンゴルの暮らしに馴染んだフリをしなければならない
そうなればシタラは事態に関係ない大勢の内の一人となる為にモンゴル皇帝の継承が意外な形で進んだ展開に目が惹きつけられる作りとなっていたね
チンギス・カンも聡明な人物だったのか、慣習に則った継承ではなくモンゴルを生き残らせる為の継承を行ったようで。また、父の考えを理解して自分ではなく兄が継承する事こそ正しいと捉えられたトルイも聡明と言えるか
但し、誰もが聡明になり得るわけもなく、また沢山の頭がある蛇が兄弟結束なんて考えだけで一つ頭の大蛇に成れるわけもなく
ソルコクタニの懸念もそういうものか。これはシタラの立場を考えないソルコクタニの征服者としての聡明さがシタラを信頼させているんだろうけど、この極秘任務はシタラの停滞した復讐を動かすものとなるのかな?