前回が夏目の成り立ちを改めて見つめ直す話なら、今回は藤原家と夏目の関係性を見つめ直すような話
今回の夏目は中級妖怪たちに頼み込んだり、夜中に捜索を始めたりと珍しく行動的になっているけど、それは当人が言う様にアズマと自分を重ねたというのもあるんだろう。でもアズマと自分を重ねたならナナマキと藤原夫妻を重ねていたと考えることも出来る。
普段から藤原夫妻の生活を壊さないように気を遣っている夏目としては、あまりの不安から里を出て行方不明の弟子を探しているナナマキが不幸な目に遭わないで欲しいと感じたのかもしれないね。
アズマが姿を消したのは自分をいしあらいとして育ててくれた恩義をナナマキへ返そうと思っていたのに、返せなくなった情けなさから来るもの。だから川原の石に描かれた紋様は何の効果も無い物のはずなんだけど、それでも描いてしまったのはナナマキとの繋がりまでは消せなかったからだろうね。
でもナナマキも同じ紋様を描いたことで、両方が見える夏目によって繋げられる。アズマと再会できたナナマキが「良かった良かった又会えた」、「二人で共に帰れる場所を探しに行こう」と言った時にはこちらまで泣きそうになってしまった。繋がりとは片方だけが一方的に感じるものでなく両方が大切に抱いているものとよく判るシーン
思えば今回の件とは何の関係もないはずの中級妖怪たちが動いたのだって夏目との繋がりがあるからなんだよね。彼らは以前に夏目から大切な物を貰った経験があるからこそ、夏目がなんとかしてやろうと奔走するいしあらいの件にも関わる。夏目もその繋がりを大切に想うからこそ一件が終わった後には何か礼をしようと考える
最も印象的だったのはラストシーンの落書き。冒頭では塔子さんはいしあらいの紋様を見ることはできなかったけど、それがいしあらいのものとは知らずとも夏目を介して綺麗な紋様を見ることが出来た
夏目は今回、家から旅立つ自分を想像する訳だけどこの落書きは幾つもある繋がりの新しい一つとなったように思える