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とても良い

弥勒寺さんは助けに来たタイミングは格好良かったんだけどメテオラに忠告されたことを忘れて、真鍳に板額をあっさり取られちゃって……

これまで事態に巻き込まれただけで傍観者のような立場だった颯太が自らが犯した罪を自覚し、今回逃げずに立ち向かったのは良い変化。被造物と違って普通の少年である彼に出来ることなんて無かっただろうけど、それでも剣先に飛び出しメテオラを庇ったことや信念を失いかけていたアリステリアに一人の読者として想いを告げた姿はこれまで微妙だった彼の立ち位置を吹き飛ばし、これからの颯太の立ち位置を示しているようで面白い
自分が居た残酷な世界はただのお話だったと諦観するアリステリアに対して「お話なんて言うなら僕の目の前で起きなかった全てが僕にとってはただのお話だ」「現実だの物語だのそんなこと関係無い」と颯太が言い返せたのは彼が被造物でもなく創造主でもなく、一人の読者でありながら絵師を目指し想像の世界に夢踊らせている普通の少年だからだろうね

もう一人普通の人間であるはずの松原の姿勢も格好いい。彼にだって何の力もなく、創造主だからと以前試した改変は失敗に終わっていた。それでもセレジアが倒れているのを見て駆け出し、ボロボロの姿で逃げてと懇願されても俺はそんな詰まらないセリフを吐くようなキャラを書いた覚えはないと叫ぶ姿勢は自分の限界を破る言葉のようで印象的

というか今回は本来の在り方から外れた行動を取る者が多かった気がする。弥勒寺から呪いのように離れることがないはずの板額が真鍳に奪われたことに始まり、戦う力なんて無い颯太は戦場に舞い戻り、義を重んじていたアリステリアは倒れたメテオラに槍を向けたことで卑怯者と呼ばれる。商業作家である松原が自身の作品をネットに晒したのもそう言えるのかな
そしてそれぞれの本来の在り方から脱却した形の集約ともいえるのがセレジアの新フォームなんだろうね。あのネット投稿からの新技披露までの流れは胸が熱くなった

それぞれに変化の予兆を感じさせつつ真鍳が言うように第一部完といった所か。……作中人物がメタ発言としてではなく「第一部完」なんて発言するのは珍しいけれど、それも本来の在り方からの脱却と言えるのかな?



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