この作品では見る、見られる事が重要なポイントになっているのかな?
冒頭の進路が全く思い浮かべられない多々良の表情が何処を見ているのか判らないものになっていることに始まり、DVD映像で俺を見ろと強烈にアピールしてくるダンサー達、極めつけはラストの夜明け後のシーンか。
多々良の窓を見るまで一晩経っていることに気付かなかった点は異様だが、それへの周囲の反応が面白い。仙石も雫も多々良のボックスを殆ど見ていないが大量の汗や足の裏の豆、壊れた靴などから練習風景を見ていないが実際に見たのと同じくらい多々良が真剣に練習していた事を知る。これは非常に面白い表現のように思えた
ダンス初心者でありやりたい事が見つからなかったはずの多々良がいきなりこのような練習が出来るのはおかしいように思えるけれど、それは彼が「何か一つ胸を張って好きだと言えるものがあれば僕は変われる気がする」と言うように、あのDVDの映像を見た瞬間から多々良の中で何かが変わり始めていたんだろうね。