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とても良い

これは随分難しい話だな……
ヒューマノイドだから普通の人間のように長期の投薬ではなく、短期施術により心の問題が解決可能なのか。でも副作用がないわけじゃないし、そもそも治療の対象となるか曖昧な時があるのは人と変わらない
今回のEPはそうした点を追求していたね

松村の件、記憶消去は良くないが『おじさん』を利用して人生を切り替えるとは面白い遣り方であるのは確か
人生の転換点や成功体験を持つ人は強い。生に行き詰まっていた松村にはそれが在った事にする。施術としては無茶苦茶だけど、結果として幸福になれるなら正しいと言える…のか?

ユウタの件はもっと難しいね…
大事を為した偉人には性格や言動に難のある人は珍しくない。むしろ何かが外れている為に大物になれた人もいるのかも
ユウタがそのパターンかはさておき、カッと成りやすい傾向も広い度量で見れば性格の一つと言える
そもそもユウタの問題を彼だけに求めるのは可怪しい気もするし

ただ、周囲と衝突し「苦しくなる」と自覚するユウタは『治療』の対象
そして治療後のユウタは友人・家族関係を改善し明るい表情になっているのだから治療は正しかったと言える

術後、音色が違うと言うユウタ。それが悪い意味か良い意味か明かされない点が医療に正解がないという点を何よりも象徴しているよ…



とても良い

知らなかった様々を知ろうとする総士を教える島の皆。マリスとてそれは同じ
『教える』というのは下手すれば自分の答えで相手を塗り固めてしまう行為。逆に言えば、教えの際には相手の答えを尊重するのが大切。だからこそ総士は皆城総士だけが持つ答えを探す必要があるわけだ

総士に与えられた仮初の家と部屋。島という大枠ではなく、島に住む人を教わる工程。それは同時に島に住む自分を教わる過程でも有るのか
また、別の面では島の面々が今の総士はどのような者か教えられる段取りにもなる
それが互いを知るという事なのだろうね

でも総士が総士だけの答えを探すなら皆が予想しない道を辿る時もある。その象徴が一騎の否定であり美羽を泣かせた点
それでも彼は自分で靴を返し、美羽に謝った。拙い第一歩としてはまずまず
そんな彼の前に現れた新たな試練は総士に何を教える事になるのかな?



良い

ヒーローを目指すティアに欠けている冷酷さを補う者こそティアが情けを掛けようとしていたアネットだなんてね
それはどうしょうもないズレ。けれどズレているからこそ『灯』はチームとして成立している。そう思える強烈なEPだったね

マティルダを逃がす局面も同じ。ティア、モニカ、エルナ、それぞれのズレが強みとなり困難な脱出劇を成立させているけど白蜘蛛が厭う程の邪性を隠し通したマティルダには及ばない。敗北してしまう
それは中心となったティアが他人の善性を容易に信じてしまうから。なら、彼女の弱点を補う存在が必要になってくるわけだ

マティルダでさえ理解の及ばない邪性を持つアネットは味方にすら気取られずに暗殺を為した
それはお友達集団の『灯』において異端。けど、そのズレが『灯』を強固にする
それらのズレはいずれ、今回の件を失敗と感じるティアをすら強くするものかもしれないね



とても良い

前半部、最近にしては珍しく行動を共にするサリフィとレオ。二人が一緒に居られる理由は互いを想い合っているから
一方で二人は王と王妃だから一緒に居られるとも言えるし、王と王妃なら国難に際し一緒に居るべきではない。それでも二人は二人のままだとも感じられるEPだったかな

レオは王だから国の危機に公務を切り上げて帰らねばならぬ時がある。同様にサリフィも兵士の危機に王妃として前に出なければならぬ時がある
王と王妃だから国や民の危機に共に居られない。二人が余人を以って代え難い立場である点の証明
でも代理でしかないサリフィは本当の意味ではまだ価値が低い

立場による重要性は他の者によって保証されるものであると端的に示しているのはアヌビスの諫言かな
誤りそうになったレオを止める為に自分を殺せと言った。宰相の立場は王が居なければ成立しない。また、宰相が居ないなら王は王として成立しない
同様にレオはサリフィが王妃として振る舞うから王で居られるわけだ

レオが王として有り続けるならサリフィも王妃として価値が生まれ生き延びる余地が生まれる
そうなると気になるのはラントかな。親衛隊長として守護者としてサリフィを守るべきだった彼は無惨に破れた。守るべき主の居ない騎士に価値は無い
彼は己の立場を取り戻す中でどのようにサリフィを取り戻すのかな?



良い

アベルの登場はローレンを深掘りするものになり、ヘーゼリッタの登場はセシリアを深掘りするものになったような。というか聖女という存在についてか
また、不幸に終わった西の聖女の逸話は、ローレンの傍にいるセシリアがどれだけ幸福かを示すものになっていたね

一方でアベルよりも常識度の高いヘーゼリッタは若い男女が二人暮らしをしている点への懸念と課題を性格に嗅ぎ取っていたね
何も問題が起こらないのはローレンの安全性の証。けど、セシリアは何か起きる事を期待しているわけで
そのズレが不和に繋がるのではなく、それはそれで穏やかな空気感を醸成しているのは面白いところ

ヘーゼリッタがどれだけ疑い見定めようとも、ローレンとセシリアは穏やかで幸福な関係を築いている
それはセシリアが西の聖女のような道程を歩まない事を示している
登場人物の追加が物語を広げると云うより、ローレンとセシリアの深掘りに繋がりつつ、同時にコミカルな会話劇にも繋がるのだから本作は上手い作りになっているよ



良い

詠子の存在は間違いなく螢多朗を社会復帰に近付ける存在なんだけど、同時にオカルトに近寄せる存在でも有るという……
でも、螢多朗は詠子の闇を知らないから彼女を守る対象と見ている。それが良い関係に見える理由なのかな

大学での人気ぶりから判るように詠子は螢多朗に構わなければ最高の学生生活を送れる。でも彼女は螢多朗の隣に居続ける
それは彼女の存在の尊さを余計に螢多朗に感じさせるもの。だから守りたいし、彼女の支えを受け続けたいと思うのだろうね

…その実態にかなり歪んだ愛情が有るのが本作の特徴と言えるんだけど
螢多朗の隣に居続けるから、彼を危険に落とせばその時に彼は自分を守ってくる
それを期待するなんて真っ当な愛ではないんだけど、詠子の場合はそれが怪しい美しさに繋がっている気がするよ……



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