「頼みがある。私が宇宙に帰るのを
手伝ってもらえないだろうか?」
西暦2049年、夏。
阿佐ヶ谷団地に住んでいる小学4年生の沢渡悠真は、
間もなく地球に大接近するという“SHⅢ・アールヴィル彗星”に夢中になっていた。
そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされた。
「二月の黎明号」と名乗る宇宙から来たその存在は、
2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障、
悠真たちが住む団地の1棟に擬態して休眠していたという。
その夏、子どもたちの極秘ミッションが始まった―
原作既読なので、どうしても比較しながらの鑑賞になってしまってます。すみません。
まず、原作の持つワクワク感がそのまま再現されてる!異星の生命体の根源的な知への欲求、AIと死の概念など、SFマインドは映画でも健在でした。科学技術考証は(オーバーテクノロジー部分は考証のしようがないのでスルーするとして)ちょいと気になる点はありましたが、しきしまさんのデザインがとてもかっこよかったのでヨシ!
団地が取り壊されるという映画独自の設定、時代設定を原作より少し先にしたのはすごくよかった。ムビチケ特典のカレンダーの年代は、ちょうど親世代の物語(映画では「今」2022年になっているのがよい)から子供たちの物語への待ち時間を感じさせてすごくエモい。このカレンダーを箱にしまってその時まで取っておけ! 阿佐ヶ谷駅周辺がすごいことになっているw
キャラデザ、最初はあまりタイプではないなあと思っていたんですが、動いてみると花香がかわいい!そしてナナコが本当に健気でかわいくて、声のイメージもぴったりで、人間以上に人間らしいキャラクターとして描かれていてよかったです。彼女ならきっと人類代表としてやっていける。
ただ、これはすごく個人的な話なのですが、原作で自分の好きな部分がどうしても尺の都合かカットされがちで、そこはちょっと個人的に残念でした。特に主人公の親達の物語パート、そしてラストシーン。あー、そこを切ったかーっていう。
観ながら最初に思ったのが「2時間の詰め込むの大変だったんだろうな…!」ということ。尺に収めようとするあまり、心の機微の描写が抜けがちなのが惜しい。この話、わりと子供特有の残酷さや身勝手さを赤裸々に描く作品で、原作ではそれを親世代の物語や細かいエピソードでフォローする構図だったのですが、映画は後者の比重が相対的に減ってしまい、話の展開や感情曲線の回収に若干唐突感が出てしまったかも。というわけで映画だけ見た方はぜひ原作も読んで補完していただければ!
あと親世代の物語の描写はもう少しほしかった!映画化するにあたってジュブナイルに大きく舵を切ったように見えましたが、原作はアフタヌーン誌連載、舞台がノスタルジックな団地ということもあり、大人パートを手厚くして大人向けに売り出すと意外と化けたのかも。親世代の約束を子供に託すというだけでなくて、屋上からの落下事件のフォローとか、大人としていろいろなものに折り合いをつけながら生きていく部分、親としての立場で子供たちを諫める気持ち(ストーリー的には障害となる部分)が原作において物語に深みを与える部分だと思うので。子供たち(特にあの主人公)だけだとどうしても突っ走っちゃうからね。でもあの勢いが良かったのかもという気もしてます。
もちろん、これはすごく特殊な感想であって(SF部分より大人ドラマ部分が刺さってた変な人間なので)、SFジュブナイルを期待する人であれば素直に楽しめると思いますので、原作とともにぜひ! 科学に夢中だった子供の頃を思い出させてくれる素敵なジュブナイルでした!
試写会で見ました。
建物を取り壊す時期的に明らかに現代(高度経済成長期の建物は今が建て替え時期)だとか、現実の時間軸に照らし合わせると気になるところが多々出てきます。
しかしそこに目をつぶれば面白い作品です。
そういった意味では20〜30代が見ると刺さると思いました。
ロボと友情を感じるぜ
公式ウェブサイトにコメント寄せてる人が豪華というか異色。毛利衛・山崎直子宇宙飛行士とか。鑑賞前は「これは名作かもしれない」と思ってた。
また,「ぼくらのよあけ」黒川智之監督×「雨を告げる漂流団地」石田祐康監督対談インタビューもある(本感想執筆時未読)。
「君の名は。」と「天気の子」と「グッバイ!ドングリーズ」と「雨を告げる漂流団地」と劇場長編「ドラえもん」を足して2か3で割って,「宇宙よりも遠い場所」作画チームが作ったような映画だと思った。悪くない作品だったけど,物足りない感が非常に強い。見せ方が悪かったのかな。もうちょっと感情に訴えるような思い切った演出をしてもよかったのでは。良くも悪くもエイベックス配給映画。
しかし客の埋まり具合がひどかった。100人強のハコに10人くらい。これはヤヴァイのでは。公開初週の週末というのに。
試写会で
いや~厳しいっすね、つまんない
でも、AI搭載ロボットのナナコちゃんってキャラがいるんですけど、それが主人公と仲を深めていって自我を得ていくのはかわいくて良かったです
掴みはいい。
画も丁寧できれいですが、設定の甘さが目立つ
空間に映像を映し出したり、物を浮かせたりできるのに、
現在と生活が全く変わらないのは 想像のバランスが悪い。
中でも物を浮かせる技術は世界を一変させるはずで、
交通機関、工事方法(ビル解体など)、居住空間、
働き方も大きく変わるだろう。
重力制御なら宇宙開発も大きく変わる。
高度な人工知能と併せて極端に世界は変わるだろう。
この作品の場合、ナナコのデザイン以外に重力制御は
使用していない。本来不要だからこそ、齟齬をきたしてる
のは残念。
その点以外は良くできたジュブナイルだと思う。