最近の本作は心にダメージを喰らうような内容が多かったけれど、今回は更に一段と厳しいものだった
エリアスを拒みカルタフィルスの手を取ったチセ。ステラが人質に取られている以上カルタフィルスの行動を拒めない。だからと言ってあの眼球交換のシーンは幾ら何でもキツすぎますよ……
それに続く過去の場面も切ない。以前、自分の家族にも笑顔が有った頃を思い出せたチセ。だから突如始まった過去も明るい家族風景から始まるのだけど……
増えていく仕事量、怪異に襲われる日々。何が父から家庭を捨てさせる決定打になったのか判らないが、出ていく直前にチセに誘いの声をかけそうになってでも結局止めて「ちょっとだけだから待っててな」と言った時の父親は何を思っていたんだろう?
それをきっかけに母親も追い詰められていき、一瞬浮かんだ悪魔の囁きに乗ったばかりに……。
父親が出ていく際の偽物の笑顔、母親の飛び降りる直前の許してねの言葉。これらは確かにチセの人生を縛る呪いと呼ぶに相応しいもの
自身の過去を見終わった後には母親を許さないと伝えたチセ。「許さない」は「忘れない」にも通じる言葉。
エリアスと生き続けることを選んだチセにとって、既に死んでしまった母親と共に在ることはもう出来ない。母親に連れて行って欲しかったと考え死に憧れていたチセが様々な出会いや経験を通じ、自分の首を絞めた母親に対し、一人で逝ってしまったことを許さないといいつつそれでも首から手を離し生きる道を遺してくれたことに感謝を伝える
こういった言葉を伝えられるようになったのはネヴィンの影響が大きい。前回、何度もチセに道を示してくれた夢の中のネヴィンがチセの心の中から生じた存在であることが明確になった。なら、ネヴィンが疑問を呈した「何故母は自分を殺さなかったのか」は元々チセが心の何処かで疑問に思っていたことであると判る
そして今回許してと頭を下げた母親もチセの心の中の存在。そんな母に思いの丈を伝えエリアスへの感情を明らかにした行為はチセを縛り続けた呪いを解き、生きて前に進む意志をより明確にする
夢から覚め対価のためにカルタフィルスを知ると決めたチセ。この時カルタフィルスの首を絞めているけど、以前チセの首を絞めたシャノンは生きる意志を呼び起こすためにやったんだっけかと何となく思い出した