逃避行の最後の準備としてしょうこの死体に自分の服を着せたさとう。この時、しょうこの瞳を見てさとうが唇を震わせたのはしょうこを殺したことへの罪悪感が心の何処かにあったから?
そして、しょうこの傍へ大切な指輪を忘れてしまう。普段の彼女なら有り得ないような凡ミス。
しょうこは死ぬ前の遣り取りで「私があんたを光の下に連れ戻すから」と力強く告げていた。さとうの凡ミスはしょうこの最後の願いが誘発したものだったのだろうか、と考えてしまう。このたった一つのミスでさとうが夢に描いた新しいお城を見つけるための旅がご破算になり、マンションの屋上から飛び降りる羽目になるのだから
しおを連れ去り、しょうこを殺したさとうはあさひにとって悪魔のようなもの。だから彼にとってしおがさとうの味方をした上で家族なんてどうでもいいと言い放つなんて信じられるものではない。ここであさひがちょっと都合の良い真実とやらを語るのも、しおは母親の件を誤解しており正しく何があったかを知れば帰ってきてくれると信じているからかな
あさひは母を自分たちと同じ被害者だと語り、警察にもまだ通報していない。つまりあさひは母親の共犯者になっていると判る。なら、さとうの共犯者になる決意をしたしおと一緒に帰るなんて出来るわけがない
そして第一話冒頭のシーンへ。一緒に死のうと提案したのはしおの方だったのか……
飛び降りる中で走馬灯のように幸せになれたはずの未来を夢想するさとう。その中でしおにまだまだ生きていて欲しいという想いに目覚めたのかな。この時、落ちているはずなのにまるで空に昇っているかのような描写は印象的
こうしてさとうはしおを守って死んだことで、しおにとって目に見えないがずっと一緒にいる存在になる。しおにとってその見えない存在は絶対であり、本当の家族であろうと立ち入ることは出来ない。それはしお以外には絶対に理解出来ないモノだから。
人を殺したさとうが穏便に生き残るはずがないとは判っていたけど、そうするとしおも一緒に死ぬのか、それとも一人で生きていくのか。しおのようなか弱い少女が一人で生きていけるのかと疑問だったけど、このような終わり方を迎えるとは色々と予想外だった
昇天のような墜落でさとうとしおは誰にも邪魔されない幸福を手に入れる。目には見えない二人だけの城と言ったところか