鱗滝はお面を付けているから表情が全く見えない。だけど、大塚芳忠さんの演技によって鱗滝の感情が垣間見えるようになっている点は本当に尊敬する
鬼殺隊に入るための最終選別。それはこれまでの修行の蓄積が活かされる場
今回はそういった蓄積による描写が幾つも見られたね
大岩を切ったことで最終選別に進める炭治郎。しかし、鱗滝は本当は選別に行かせるつもりはなかったという
これは自分が今まで育てた剣士が誰も帰ってこなかったという過去の蓄積からくる感情なのだけど、同時に最終選別を乗り越えた者だけが鬼を殺せると知っているから炭治郎を向かわせざるを得ない
山の中で炭治郎はいきなり二人の鬼を瞬殺する。以前はどうやってトドメを刺すかで悩み朝を迎えてしまったのに、今回は一切の躊躇なく一太刀で終わらせる。
修行の成果によって隙の糸が見えるようになったことと、鬼の命を奪う躊躇が無くなったからだね
かと言って鬼の命を軽視するわけではない炭治郎の態度は特異なもの
炭治郎の戦いを見ると修行すればするだけ強くなるように思えるけど、一方で錆兎が言うのは「努力はどれだけしても足りない」。いわば修行による蓄積で強くはなるけれど、かと言って上限に届くわけではない。
それを示すのが今回登場する手鬼。手鬼は既に50人以上の人間を食っている。食えば食うほど強くなる鬼と厳しい修行してようやく強くなる人間。そこにある蓄積の差は方向性こそ違うものの、だからこそ生半可な修行の蓄積では手鬼には届かないと思い知らされる
当然炭治郎は手鬼に苦戦するのだけど、そこで彼を支えるのはやはり過去からの蓄積
強すぎる手鬼を前にしたら、あの剣士のように逃げるのがきっと正解。けれど、炭治郎は鱗滝によって育てられたから、鱗滝を好きだという真菰と錆兎を知っているから逃げる道は選ばない。三人のためにもここで手鬼を倒さなければと考える
また、気絶した炭治郎を手鬼の攻撃が迫る中で目覚めたのは既に死んでいる弟、過去の存在だ。
修行の成果、真菰と錆兎、死んだ家族と鬼になった妹。そして誰よりも堅く大きな岩を切ったという事実
それらの過去からの蓄積によって強く成長していた炭治郎。彼の刃が手鬼の首を一刀両断する場面は非常にスカッとする