待ちに待った真の解決編
やはり推理モノに於いて探偵が真実を明らかにする瞬間というものは興奮するものです
本作では真実ではなく虚構なんだけどね
ここまで辿り着くのに随分時間がかかったが、それもその筈。琴子は解決と偽って3つの虚構によって仕込みをしていたわけだね
鋼人を消すには人々を納得させなければいけない。そして納得するにはただそれらしい解決を授けるのではなく当人に推測させなければならない
人は誰かに貰った答えよりも自分が見つけた答えを信じるものだから
その為に琴子が行ったのはこれまでの解決で示された要素を土台とした「七瀬かりんは生きている」という物語の披露
その刺激的な物語に人々はこれまでに提示された解決を拝借して解釈を与えるようになる。
そこに「サイトの管理人はかりんである」と更に刺激的な話を加えれば最早亡霊が信仰される隙はなくなる
鋼人七瀬という不自然な存在の出現を肯定してきたまとめサイトが一瞬にして鋼人を否定する論拠となる瞬間は痛快
鋼人は虚構から出現した存在。面白く刺激的な嘘によって成立したから、そこに別の刺激的な解釈をぶつけられれば支持を得続けるなんて出来やしない
ここで立花が下手な否定をした所で「管理人は七瀬かりんである」と疑われる根拠になってしまう徹底的な封鎖
勿論、この解決は琴子の推理力だけでなく九郎が何度も死んで未来を決定し続けたから成し得たもの
琴子だけでは足りず、また九郎だけでも足りなかった。二人の合力によって届いた虚構による虚構討伐
うん、素晴らしい解決編でした