この作品では86達の命が軽く消費されてしまう事はカイエの一件などで充分に判っていた筈なのに、ダイヤやレッカが為す術なく命散らす描写に衝撃を受けてしまう……
こんな環境だからシンエイに課せられた役割の重さを感じられるし、それに寄り添おうとするレーナの覚悟も感じられるね
それでもスピアヘッド自身は自分達の命を出来る限り尊重しようとしているね
「笑えなくなったら負けだもんな!」と花見を楽しむスピアヘッド。また、レッカが死に、もぬけとなったベッドに心を痛めつつも「ダーツしよ」と今を楽しもうとするクレナ
スピアヘッドにとって生きるとは笑みを失わないことなのだろうね
そしてもう一方の死に抗おうとする動きが隊員を忘れないこと
隊員が減って余った食事をアンジュは「一人で持てるから」と抱え上げた
また、シンエイは死んだ者達の名前を拾い上げた
そこに新たに加わろうとしているのがレーナだね。彼女は86には会った事はないけれど、メモの形で86達を忘れないようにしているね
それが時にはシンエイすら忘れていた人を覚えていたのは印象的
ショーレイの首に囚われ過ぎたシンエイには優しかった兄など思い出せない。けれど、レーナはちゃんと覚えていた。シンエイが拾い上げることが出来なかった者をレーナは生きている者に伝えてみせた
そういった記憶の連鎖がいずれ隔絶を超えた愛へと昇華されるのかと興味を覚えるね