自宅ではなく、画材も満足になく、海の音しか聞こえない、広い部屋でもない
そんな場所では話すしか出来ないし、お互いの見えていなかった諸々が見えてしまう
飛び込むつもりでやってきた海。けれど、飛び込んだ先は相手の懐になってしまったようで
蕁麻疹や部屋が空になった話。それらは今抱えた苦しみであるのは本当だけど、あの部屋では意味を成さない。二人が明かしたくなるのは別の件
自殺の件で引き合いに出したように龍二はまだ裸になれない。八虎もまた優等生の服を纏ったまま
そんな二人が裸になるなんて普通はない。でも、美術部として自分の裸を描くなら有り得る話
互いの裸は見えぬまま語る二人。龍二は小さい頃からの自分や家族との在り方、八虎は他者からの評価と自己評価の乖離と劣等感。それらは普段であれば明かす事のないような話
普段は見せない裸に潜り込むように互いの心情に潜り合う二人。中でも龍二の最深部に有った秘密は好きな女の子の話か。それを語る時の龍二は震えているかのように見えた
龍二にとって家族よりも進路よりも自分の姿よりも深い場所にあった別の好きの話
龍二は自己矛盾として抱えていたそれを八虎に語る事で、自分が判りやすい形に拘っていた、カテゴライズしていたという点が判ったのだろうね
また、八虎も自分を理解していくように龍二への理解も深まったのかな。それは他の場所では決して出来なかっただろう飛び込み
最後に龍二の認識を改めさせた八虎の受験への向き合い方。受かるも落ちるも自分のせい
なら突如訪れた身体の不調はやはり八虎の責任になってしまうのだろうか?それとも神様による意地悪なのだろうか。まだ本当の受験は始まったばかりだというのに……