原作既読組としては最終話にこのエピソードを持ってくる采配に驚いてしまうけど、『スリーピング・マーダー』にて琴子や九郎を人らしからぬ存在と描いてしまったからこそ活きる話であるように思えたよ
梶尾達も異質な琴子に想像を膨らませていたがその実態は非常に卑俗的なものだったわけだ
高級鰻店に中学生を思わせる風体の少女が一人。容易に理解できない存在に納得する為にあれこれこじつけ想像を膨らませる
その中では梶尾の計画殺人なんてものまで夢想してしまう
結局それは真実を言い当てていた訳だけど、楽しい食事の席でそんな話を出させてしまう程に琴子の存在は「人ならざる者」
梶尾の体調不良も似たようなものか
異質な症状を納得する為に夢想した果てが「妻を大切に想っていた」なんて勘違い。そりゃ奥さんだって取り憑くというもの
これが勘違いだったように、琴子に対する夢想も勘違い
というか、琴子は初対面の男性に何を語ってるんだ(笑)
エピローグには虚構も真実も推理も何もない琴子と九郎の他愛無い会話
けれど梶尾の勘違いにより琴子がそれ程「人ならざる者」でないと示された事で、買い物シーンやその帰り道は普通の恋人同士の遣り取りに見えるね
他者がどう思おうと二人なりの真実のもとに触れ合いを重ねる琴子達の人生に幸あれと感じられる最終話でしたよ