多額の借金を抱え、
さらに医者から余命2年を宣告された大学生、佐々木常宏。
鬱々とした日々を過ごす常宏は、
ある日借金取りに追われ海に転落したところを、
釣り好きの少女ハナとその釣り仲間の貴明たちに助けられる。
ハナに勧められるまま人生初の釣りを経験し、
その釣り仲間とも親交を深める常宏。
ハナや貴明の働くコンビニでバイトも始め、
難解な釣り用語や生アミの匂いに苦戦しながらも、徐々に釣りにハマっていく。
手元に伝わるアタリは、生の実感──。
転落し続け世界を見上げるだけの人生は、そう簡単に変わらない。
そんな常宏が釣りを通して見つけたものとは……?
人生に詰みなんかなく、新しい何かに出会えるとそこからまた新しい考えに出会えるのではないか
釣りとは人によっては自分とのひとつの対話方法なのかもしれない
釣りがテーマの1つとしてある作品だけれど、あくまで"釣りや他者との関わりを通して変わっていくヒューマンストーリー"なので、メインは人と人の話だったりする。釣りに興味ない人にこそオススメしたいな。
それはそれとして、釣りシーンの劇伴も素敵なので、是非。
『モダンな日常性が与えるカタルシス』
現在を率直に生きることが,自己に粘りつくような懊悩を超克する.この物語の大局的主題を一句で語るとしたらこのように言えるのではなかろうか.
屈折した人間性を持ち,余命残り少なく世俗に対して捨鉢な主人公,佐々木常宏はアングラー達と出会う.この偶然の先で,彼らの純真で淀みなき生が常宏の生活に変化をもたらす.釣り,これが死によってもたらされる虚脱感から彼を一時的に開放する.
この,趣味への純粋な感興は諸々の苦悩を置き去りにする.だが,それは刹那の享楽的な生であり,欺瞞的な安住に過ぎない.その先の幸福は,閑却し得ない問題に主体的に挑まないことには獲得することができない.その過程が常宏と貴明の軋轢に描かれる.彼らが対面しなければならない対象は,未来(死)と過去(悔恨)である.これらは,時間的存在である人間が内包する苦悩であり,現在の感興によって目を背けることのできない対象だ.しかし,彼らの持つ独善性-貴明から与えられる親切に無自覚な常宏,強圧的な親切心を向ける貴明-が,それら苦悩と彼らを向かい合わせることを拒む.そこで,常宏は,自身の内に抱く,貴明の率直な利他心に対する謝意を自覚する.そして,純朴さと共にその意を貴明に示す.釣りが楽しい,と.その情意を受け取ることで,貴明は己の業を受容する決意を固めることができるのである.このようにして,彼らは,相互的に現在の有意味性を認め,すなわち互いの働きかけを意義あるものとし,他者存在を了解することができる.そうすることで,相互的に現在を肯定することができる.それはまさしく率直な生である.未来・過去を内包する現在を率直に生きることによってこそ,取り戻せない過去や来たるべき未来を受容することができるのではないだろうか.失った家族への憧憬に目をくらませることなく現在を生きる店長,一般的でない過去を有しながらも現在に純真な眼差しを向けるハナ.いずれも過去を受容し,確かに現在を生きるのである.他のキャラクターも同様であろう.過去を詳述していなくとも,確かに今を生きている.
このように,本作は,主人公が偶然的に友人に恵まれるという射幸的カタルシスを越えて,諸々の懊悩を抱えながら現実を生きる我々に実存(自己に対して自覚的な生)の光を照らす.そして,実在の地域を舞台とするモダンな物語世界や,主人公を取り巻くキャラクター達の不詳な人物像が,ある種の虚構性を持ちながら実際的な物語を構築している.最終話,主人公が同僚達に退職の経緯を詳述しなかったことも,人間同士の実際的な距離感を演出しているのではなかろうか.このように,虚構と現実性との架橋が人生観や物語世界にまで浸透している.かくして,モダン(現実的・実際的)な日常性(生)のカタルシス(物語すなわち虚構による産物)が私の内部に顕現する.これこそ,本作の持つ価値であると,私はそう思う.
東京・月島勝どきエリアという、東京なはずなのに、どこかのんびりとした地区を舞台とした作品。その通り、ゆったりとしながら苦悩のある人間関係を描いた本作の雰囲気と絶妙にマッチしていたと思う。劇伴もいいですね。 最初の1-2話みてたときはこれどうなるんだと疑ってかかってたんだけど前半の話を踏まえて後半でそれを効かせてくるのがうまかった。 EDよかったですね
学校や会社ではない趣味仲間の繋がりと釣りの時間の流れがとても居心地良い。
全てにネガティブだった常宏が立ち直っていく流れも貴明と深刻になった時もEDが沁みる。
釣りアニメは名作の法則
志望大学落ちて余命宣告されて借金漬けになって借金取りに追われて家も無くなってて…もうこれより終わってる主人公いる?ってくらい人生詰んでてびっくりした
そんなネガティブ主人公常宏が貴明たちポジティブアングラーと出会って一緒にコンビニで働き釣りをしながら成長していくストーリー
東京下町の雰囲気とか、コンビニバイトという様々なバックグラウンドを持つ人が集まる環境の中で共通の趣味を持つ仲間とワイワイやっていく温かい庶民的な雰囲気もあってかなり好きなアニメだった
あと今期の中では一番BGMが好きだったな
ハナがメインヒロイン…ではあると思うんだけどハナの出番より常宏と貴明の関係性がメインに感じた
まだハナの生い立ちとか何でコンビニに住んでるかとか掘り下げられそうな要素は残ってると思うけどこれは視聴者が勝手に想像して補完していいのか…?二次創作が捗りそうではあるけど
☆5
釣りだけど、それだけじゃない。それぞれの人生の横に釣りがある。
常宏と貴明、釣り友を得て、釣りで会話し、喧嘩し、告解する。美しい物語だった。
東京湾周辺の釣りスポットを巡りながらそれぞれの人生を描く。
映像は美しく、音楽もそれを静かに盛り上げていた。
ギャグとシリアスの描き分けのキャラクターが混在しているが、意外と問題なく
同居していた。主人公と深く関わるか関わらないかで分けられていたのかも。
ちょっと盛って派手にいきたいところでも抑えることでチルな空気が生まれて、逆にしょーもなさがなくなる良い空気感がずっとあるアニメだった
劇伴も程よいテンションですごく合っていた
曲が変わるのではなく曲の展開と場面の展開が合うやつ好きだなあ
序盤の展開が後半でいきてくるといったベタといえばベタなやつも、丁寧で無駄がないし細部まで詰められていて気持ちよく見られた
素材をいろんな方法で全部キレイに使い切る料理みたいだった
普通 of 普通
ひねくれた主人公たちの成長記。
派手さはないけどしっかりと作り込まれたドラマが良かった。