世紀末救世主伝説 北斗の拳

世紀末救世主伝説 北斗の拳

  • 視聴者数:342
  • 評価数:73
武論尊・原哲夫/コアミックス・東映アニメーション 1987
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    普通

     かなり面白い。
     教養として履修しておこうぐらいの気持ちで見始めたのだが、期待以上の作品。いきあたりばったりに物語を連ねていったと聞くが、そういうやり方でここまで凄いものになるとは。

     欠点は多々ある。
     初期のビジュアルの粗さ。
     シンと闘うまでの無駄な引き伸ばし。
     キーとなるはずのユリアの魅力がイマイチ描ききれていないところ。
     そして、昔のアニメ特有の過去を振り返る総集編の多さ。これは苦痛になるレベルで多く、重大な欠陥である。特に、最終回を総集編にした感性は理解できない。

     しかし、『北斗の拳』にはそれらを吹き飛ばす魅力がある。その魅力の正体は何なんだろうか。
     魅力の正体は、半分はギャグ狙いであろう極端な誇張にあるのかも知れない。
     この作品世界の大柄な男は、ケンシロウの何倍もある異常な大男として描かれる。主要人物は、そんな大男のみならず、百人単位の戦士やチンピラをあっさりと片付けてしまう。岩塊を持ち上げ、足を地に叩きつけると地割れが起こる。まるでシリアスタッチのアラレちゃんである。
     ギャグ狙いの荒唐無稽といってもいい物語だが、だからこそそれを突き抜けることで、途中から神話的な趣を纏いはじめる。主要登場人物の幾人かは、世俗の悪党や正義漢ではなく神話の中の神のようでさえある。
     神々の生き様や死に様は、我々には手の届かない高みにあり、参考にも指針にもならない。
     我々にはただ神々の行いを目の当たりにし、そして圧倒されるのだ。

    全体
    とても良い
    映像
    良い
    キャラクター
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    ストーリー
    とても良い
    音楽
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    正直な話、この作品に触れる前は「あたたたたた〜」からの「お前はもう死んでいる」で敵を倒していくだけかと思っていたが、実際は一部だけだった。

    この作品はバトルシーンよりストーリーに重きを置いていた感じ。
    この作品のテーマは結構多かったな。愛、憎しみ、哀しみ等色々あった。一言で表すなら「宿命の物語」だろうか。特に南斗六聖拳は正に悲しき宿命の物語だった。でも皆強いんですよね。宿命を受け入れるどころか、宿命の為に生きるという生き様が伝わってきました。
    展開自体は割と読みやすい方かも。初登場時のトキ(アミバ)が少なくとも偽物だってのは分かりました。明らかに理由付けが弱かったので。
    ユリアも死んではいないと思った。シンが追いかける描写が皆無なのはそういう事だったんだなと。あとこれはメタ読みだけど流石に退場が早すぎる。
    サウザーは分からなかった。最初は秘孔が無いのかと思ったけど違った。
    原作も途中まで読んだけど、モヒカン共の登場頻度がアニメ版は段違いで多いですね。結局は蹴散らされるんだけど、コイツら学習能力無いな…。直前の掛け合いや断末魔にちょくちょくシュールなのを混ぜ込んでくるのも良い。

    この作品の名勝負や名言は枚挙に暇がないですね。レイ対ユダ、トキ対ラオウ(2回目)、ケンシロウ対サウザー(2回目)、ケンシロウ対ラオウ(3回目)等々。
    個人的にはトキ対ラオウとケンシロウ対ラオウが特に良かった。この山場で北斗神拳伝承者や候補者としてではなく、兄弟の繋がりを見せるのは心にくる。
    柔の拳ならラオウを倒せるかもしれないのに、あくまで剛の拳で兄を超える為に命を削って戦うトキは中々。
    名言に関してはどのシーンも非常に印象的。
    あと北斗の拳を語る上で外せないのはやはりOP。完成されていると思います。結構声高いんですよね。劇中のBGMも良い。

    ところで、アニメを見ただけでは不明な点が幾つかあった。
    なんでジャギが候補者だったのか、何故トキがサウザーの謎を知っていたのか等。
    ("あの"イチゴ味で一部出てたが)

    非常に見応えがある作品でした。

    全体
    良い
    映像
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    キャラクター
    良い
    ストーリー
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    音楽
    とても良い
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    良い
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    巨漢の悪党が「あべし」等に代表される奇声をあげ、こっぱみじんの肉片に。
    悪党相手とはいえ、一見やり過ぎな正義の行使だけど。敵がただの悪党ではなく、この仕打ちを受けるにふさわしい「どうしようもない」悪党であることや、主人公本人はあくまで大真面目な「世紀末救世主」であること等々。
    主人公の非道な殺戮を奇跡的にギャグとして成立させているのは、これらの様々な仕掛けのおかげなのだろう。バクマンで「シリアスな笑い」と呼んでいた概念はこれのことだと思うけど、原作者両名はこれを計算で生み出していたというのだから恐れ入る。

    ほとんどのファンは拳王の「わが生涯に一片の悔い無し」を、ドラマとしてのクライマックスと考えているだろう。そこに異論はない。また、この作品をヒーローものとしてとらえれば、牙一族編からはじまる、ケンシロウとレイがダブルライダーのように共闘する展開も魅力的。
    様々な切り口のある懐の深い作品だが、でも自分は、北斗の拳本来の面白さは初期のギャグ要素であると思ってて。その意味では、ジャギ・アミバあたりが面白さのピーク。
    先日、そのアミバ編の終了を以て視聴を一旦終了したという次第。

    全体
    普通
    キャラクター
    良い

    昔の漫画家はほんとに戦後の荒廃したような舞台設定が好きだなー。

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