世界観や劇中用語に先行作品との類似点が指摘されており
当時ですら古さを感じたが
キャラクターの設定はセンスが良く、
この点においては頭ひとつ抜けた存在だった。
ラストバトルは解決をみないまま終結しており
個人的にはリブートを望む作品である。
今でこそ「転生もの」は珍しくないが、
自分が記憶している限り
転生を扱ったアニメはこれが最も古い。
世間でスピリチュアルな用語とみなされている
「ソウルメイト」という言葉を初めて聞いたのも、
この作品からである。
深夜アニメにありがちな
シチュエーションもあったりするが
業界の趨勢を把握するため、見聞を広げるために
資料として一見の価値はあると思う。
https://animestore.docomo.ne.jp/animestore/ci_pc?workId=26598
https://www.amazon.co.jp/dp/B07KW1F1G1
https://www.b-ch.com/titles/6314/
パワハラの横行する、いやな職場という印象が常にあり
Dパイの境遇が気にかかり、ほかの事柄に関心が湧かない。
関係者の無神経さに一言いわずにいられないのは当然であり
特に事務次官の裏工作に感じる不快感は許容限度を超えていた。
事情がどうあれ、やりかたが陰険。
上があのような仕打ちをしたら、職場を去るのは無理もない話だ。
柿保のセリフ「あなたの言葉に嘘はない」はむなしく聞こえた。
職場の人間関係を改善すべき責任があるのは
柿保も同様のように思うのだが。
主人公の世代は、自分より少しあとで
業界の趨勢について知りえる題材だ。
コンテンツやマシンの仕様が紹介されていて、
解説でプログラムを改善すべきポイントを見つけた。
自前の企画で仕様に反映しようと思うので、
その点が役に立った。
本編は、視聴に際し
ギャルゲー原作+深夜枠ならではの割り切りが必要。
エンディングムービーの
狂気をはらんだ演出は見どころだろう。
戦闘シーンを描くために、闘う理由を取り繕うことは
娯楽作ならよくあることだが
本作は観衆を納得させられるほどの理由を示せていない。
月光・閃光が、師と仰ぐクロカゲの理念を
理解しているとは思えなかったし
雪不帰(ふぶき)が闘う理由がはっきりしない。
境遇に不満があろうと、理解者がいれば充分のように思えるし
一兵卒にすぎない、末端の忍びが
痛めつけられるいわれはないだろう。
エロとネームバリューで乗り切ることを
禁じ手とまでは言わないが
この姿勢が売り上げに寄与しているのか疑問を感じる。
終盤の演出を観ると、転生ものと察しがつく。
この点に気づかない視聴者がいる理由は、
作り手が死生観について深く掘り下げていないから。
掘り下げないのは、この作品が「娯楽作だから」である。
観客が楽しめることに重点を置いているので
難解な命題に深く切り込まないのである。
エンターテイナーとしては正しい姿勢といえる。
わかばは、一度死んで転生している。りんも、おそらく転生者。
再会して巡りあったということだと思う。
感動的だけど、よくある設定。
娯楽作ではあるが、娯楽作としては秀作だろう。
オープニング曲はかっこいいが、
おそらく企画ものでなく販促目的の提供楽曲。
オープニング曲が作品の印象に寄与した面は大きく、
この曲が無かったら全体の評価に影響したのではないかと思う。
ヒロイン・可奈美は、誰彼かまわず手合わせを挑んでいく性分で
「殺陣(タテ)が主、プロットは従」
「斬り合いを描くために、それに沿ってシナリオを書く」
という意図で作られたと察しがつく。そのため、可奈美は
「見た目はかわいいが、迷惑で面倒な娘」となっており
劇中世界での人望の理由がわからない。
キャラ売り作品のテンプレヒロインなのだろう。
世界を危機に陥れた黒幕を封印しようとして
仲間・ひよりとともに迷い込んだ精神世界で
黒幕は弱体化しており、もう危険はないらしい。
動機はくだらないものだったが、危険はないので赦した。
再会を果たしたふたりは友情を確かめ合い、
手を取り合って元の世界へ帰っていく。
それでよいのか。刀使には死んだ者もいるというのに。
道理より「百合カップルの絵を描くこと」が優先事項なのだろう。
オープニングは、曲もムービーも良いので
ここだけは是非とも観ることを勧めたい。
世相を反映するなりして、愉しめる要素が盛り込まれていたと思う。
2期があるなら、ワイズマンが仲間に加わったシナリオを観てみたい。