背景作画はP.A.WORKS作品の中でもトップレベルで、舞台となっている福井県坂井市をモデルにしたという日乃出浜の街の様子がとても魅力的に描かれていたと思う。
一方で残念なのは、脚本が視聴者を置いてきぼりだと感じたことだ。登場人物のセリフや行動は製作者の中では色々な文脈があってそれがあるのかもしれないが、見ている方からすると、なぜ返しでそのセリフが出てくるのか、なぜそんな行動をするのか、と唐突にキツネにつままれたような気分になることがたびたびあり、視聴者に何かを伝えようという気があまり感じられない、どこか製作者の自己完結的、自己満足的なものにみえる点は不満だった。
また、現実的な世界観の中で唯一超現実な、未来の一片が見える能力という設定は、本来作品の核になるはずのものであるように感じたのだけれど、それがストーリーのテーマに上手く絡めていない、生かされていないように感じられる点も勿体無いような気がした。