設定でイロモノだと思われがちだが、青春の挫折というテーマを優しく包み込む素敵な作品だった。最近の作品では珍しく心理描写がとても丁寧で、且つ、雨や文学作品をモチーフにして情緒的、詩的な香りを漂わせており、ドラマチックな何かを求めるならおそらくあまり楽しめないだろうが、じんわりと響いてくる心の機微を味うことができるオトナな作品だと思う。
雨上がりのキラキラした鏡のような水たまりが街中にひろがって、まるで街そのものが空に浮いているかのような風景はとても素敵だった。ストーリーそのものとしてはだいたい良かったけど、若干消化不良感が残るのは残念。
エルウィン・ヨーゼフの亡命を自由惑星同盟政府が何故受け入れたのかが解せないな。旧門閥貴族なんて結集したところで幾ばくもないし、帝国との緊張関係を高めるだけで、益は何もない気がする。
「総参謀長はローエングラム公をマキャベリズムの道具としてしか見ていないのではないかしら。だとしたら、それはあの方の、まだ少年のような多感さを持った、あの方の感性を破滅させてしまうかもしれない。それはあの方をルドルフ大帝の再来に変えてしまう危険を孕んでいるわ。そうさせないために闘わなくてはならないんだわ。ヒルダ、でも勝算はあるの?決意だけで勝てるなら誰も苦労はしないわよ。」
「国家が社会的不公平を放置して、いたずらに軍備を増強し、その力を内に対しては国民の弾圧、外に対しては侵略という形で乱用する時、その国は滅亡への途上にある。これは歴史上証明可能な事実である。加えて、現在の我々には帝国に侵攻するだけの力はない。純粋に軍事的見地からしても、アムリッツァーでの大敗と昨年の内乱により、著しい戦力の低下がみられるが、それだけではない、国家の経済、生産力、人的資源全てが払底している。イゼルローン要塞の存在によって辛うじて国防が可能な実情にある。我々が為すべきはローエングラム体制との共存である。ゴールデンバーム体制は民主的に成立した政権が最も非民主的な政治を行った例であり、ローエングラム体制は非民主的に成立した政権が優れて民主的な政治を行いつつある例である。これは民衆による政治ではないものの、現在のところより民衆のための政治ではある。それを認めた時、ローエングラム体制との共存は可能なばかりでなく、必然となるであろう。」
プリプリに続き、黒星紅白とStudio 3Hzのタッグという事で女の子が可愛い。特に女の子の表情の豊かさはStudio 3Hzの真骨頂という感じ。サバゲー的な面白さはまだよくわからない。OPそして特にEDがかなり素敵だ。(Studio 3Hz作品はいつもそうだが)
マクロスシリーズの河森監督のオリジナルSF作品という事で視聴。作画良し。キャラ、メカニックデザイン、音楽、SF設定良さげ。オイラーの公式がチラリ。アジトには中華風飾りが。しかし初回はそこまで引き込まれるものは感じなかった。今後のストーリーが面白くなれば…。
「そうだ、キルヒアイス。お前は誓いを守った。だから、俺もお前に対する誓いを守る。どんな事をしてでも宇宙を手に入れる。そして姉上を迎えに行く。だが、俺は寒いのだ、キルヒアイス。お前と姉上がいない宇宙は温かい光が欠けている。12年前のあの頃に戻れたら… そしてもう一度やり直せたら… 俺にとって世界はもっと明るく温かいものであり得るだろうか。キルヒアイス。」
「ローエングラム公は死者にしか心をお開きにならないというの。それではあまりに寂しい… 何のために旧帝国を滅ぼし、宇宙を支配しようとしているの。いけない、このままでは、いけない。」
フェザーンの思惑。
「キルヒアイス提督。貴方が生きていらしたらきっとお諌めするでしょう。でもあたくしには… いえ、他に誰にも出来ません。ローエングラム公の烈しさと危うさを包み込むことが出来たのは貴方だけなのですね。貴方が生きていらしたら… 生きている者は何を成せば良いのでましょう。」
ユリアンの初陣。
「辺塞寧日なく北地春光遅し」
国境の砦は戦争中で平穏無事な日がなく、そのような土地には春が来るのが遅い
「かわいそうなラインハルト。もう失うべきものを何も持たなくなってしまったのね。そう、私たちはお互いの他に何も持たなくなってしまった。」
「姉上はキルヒアイスを愛していらしたのですか?」
「そう、宇宙を手に入れるのだ。失ったものの大きさを思えば、せめてそれぐらい手に入れなくてどうするのか。」
「もはや失うものは何もない。だが、なればこそ俺は闘う。お前との誓約を守るため、そして、この胸の渇きを癒す何かを得るため。それは良き友か、それとも強き敵か。ヤン・ウェンリー、お前ならそれに応えてくれるのか。」
ベスターラントの悲劇。フレーゲル、ブラウンシュバイク公の末路。
「滅びの美学ですと。そういう寝言を言っているようだからいくさに負けるのです。もうたくさんです。一人で勝手におやりなさい。我々があなたの自己陶酔に付き合って無駄死にをせねばならぬ理由はありません。」