サービス開始日: 2016-04-05 (3655日目)
圧巻の出来。残酷な大地の上で人の業が渦巻き悲しみの雨が容赦なく降り注ぐ中、それでも希望を失わない人々の悲愴の物語を高品質のキャラデザ、作画、演出、音楽、その全てを駆使してドラマチックに描き出す、20年代最高の本格ファンタジーアニメ作品の一つではないかと思います。
唯一気になった点は原作未履修勢の自分にはアニメだけで全体を理解するのはやや難度が高くてwikiなどの情報で補完する必要があったこと。それはそれで楽しかったのですが、やや敷居を上げてしまうかもなと。逆に言うと1周目で物語の全体像を把握してからの再視聴で新たに気づくこと、理解出来ることも細部に色々ありそうでまた楽しめそうです
メンバー間の衝突という人間ドラマの中にアカペラとは何なのかという音楽的に掘り下げた話も絡んできてすごく良かった。以前、絶対音感持ちはトランペットのような楽譜と違うキーの音が出る楽器が苦手という話を聞いたことがあるけどムスブは正にそんな感じなのかな。素人の自分ですらピッチが不安定なボーカルを聴くと不快に感じることがあるしムスブの感じてる気持ち悪さは想像以上なのかも知れない。一方でグルーヴという言葉が出できたようにピッチやリズムの微妙なずれが気持ちよさを産み出すこともあるわけで本当に正解がないというか音楽は奥が深いなと。声という不安定な楽器だけで構成されるアカペラはまさにナマモノで、理想と現実の間の中で折り合いをつけてその時その時の最善手を探さなきゃいけない。なんていうかもう人生そのものみたいだ…。そして、どこを目指すにせよみんなが同じ方向を向いているのが大切ということなのかな。
それにしても、ムスブの音楽に対する想いの強さを考えると妥協して皆に合わせにいくという選択肢はあり得ない気がするし、大学生とかと一緒にやるのが一番いいんだろうなとか思っちゃうけど、とするとその強い拘りを乗り越えて皆とアカペラする(音楽的な)価値を何処に見出すのだろうか。気になる。
あとウタクマコンビは良いですね。二人とも言葉数は少ないんだけど一言一言ゆっくりと噛み締めるように喋るのがなんとも心地がよくて、言葉一つ一つに彼女たちの想いが乗ってるというか誠実さが滲み出ている気がするんだよね。二人とも好き。
アンと会話を交わしたルビーが最後の時を自分自身を深く見つめ、死を迎える自分を受け入れ、命の奇跡を全身で感じながら安らぎと供に旅立ったのだと信じたい。それは僅か数日の事かもしれないけれど本当に尊い時間になったのではと。改めてルビーのエピソードを映像で観られてよかったです
自他に厳しいストイックなムスブと、一見GoingMyWayなようで割と空気を気にし承認欲求が強く厳しい指摘を嫌がるウルルとはいつか衝突が起こりそうな気がしていたけどこのタイミングで来たか。今回の諍い、どうもアイリやレイレイが自分たちのバンドを立ち上げた理由も絡んできそうな雰囲気。ムスブの考え方でいけばレベルの高い環境や上手くなることを求めるなら二人は大学生たちと活動を続けたほうが良かったのだろうけど、あえて離れたわけでこの辺本作の核心テーマに迫る展開にもなりそうで期待です