アナスタシアという人の手を介しサリフィによって届けられた魔族の親書、それはとても象徴的な出来事
また、サリフィが王の前で語った魔族の普遍性、そして人の王に見出したレオとの共通項
これらを踏まえれば、人と魔族は大きく変わらないから手を取り合えるのかもしれない。サリフィの功績によって人と魔族が結び合う未来が少し見えたような気がするよ
人から魔女と排斥されていたアナスタシアは原因であるルーツを探っていたのに、今では自分を受け止めるオセロットによって正体に悩む愚かさを知った
彼女を通してレオのルーツは知れなかったけど、他方でレオが目指すべき心構えを教えてくれるもの
かといって、レオだけに構えさせるものではないから、サリフィは彼の隣に立つ為に努力するわけだ
その決意を新たにしたタイミングであのような陰謀が起きるとは…
人との和平交渉、サリフィの王妃認定。人が魔族に、レオの本当の姿が魔族に受け容れられる余地が生まれそうな、様々が明るい方へ向かっていた裏で王の正体を暴こうとするセトの暗躍
レオが王として立つバルコニーがまるで処刑台かのように様変わりしたラスト、これまではサリフィに与えられてきた試練がレオに投げつけられた形となったね…
セシリアとギーゼルベルトによって語られる「聖女とは何か」は聖女がどれだけ尊い存在であるかを補填するもの
踏まえるとセシリアを聖女呼びするローレンは正しいように思うけど、一方で彼は彼女個人を見ていると言う
特別な聖女と普通の少女、改めて彼女をどう扱うべきかが問われた回だね
ギーゼルベルト達が語る聖女や加護はセシリアが常人と異なる存在であると告げている
他方でカミラを前にして恋バナに花を咲かせる様子は普通の女の子といった処
そもそもあの街に居たフレデリカが聖女として扱われ過ぎ悲劇を迎えた件を思えば、セシリアを聖女として扱い過ぎない方が正しいのだろうね。まあ、その為にはローレンの鈍感さをどうにかしないといけないのだけど
セシリアを普通の女の子として扱うなら想い人のローレンだけが居れば良いという訳ではなくて
本来なら此処でお別れのヘーゼリッタが再びセシリアと共に過ごせるように手を回していたのは彼女が既にセシリアの友達だから
そう考えるとセシリアは本当に周囲から愛されていると感じられるね
螢多朗達だけでなく、視聴者にも恐怖を振り撒く悪霊はヤバい存在という他ない。だからこそ圧倒できる夜宵という異常な少女の活躍に魅せられる
特に彼女の場合、悪霊の心理を読んだ上で行動しているという点が何よりも強みとなっているね
脳幹を弄って霊を従わせる悪霊なんて異常そのもの。でも観察すれば強くないと知れる。また、被害者から見える傾向は性格のヒントとなる
正しく考察すれば悪霊は恐ろしくない。夜宵はそれが出来たから悪霊を捕らえられたわけで、螢多朗も察したから協力できたわけだ
夜宵が仕掛けた罠は霊の性質を理解していないと仕掛けられないもの。この点からも彼女が普通の枠から大きく外れた人間と判るね
そんな夜宵の前に立ち塞がるは霊と全く異なる神様。愛依を守る為に異常な神様に異常な夜宵がどこまで立ち向かえるか見ものだよ
今回は一挙に幾つもの境界線が登場したな…
ルディ以外に日本を知るナナホシが登場した事で物語は大きな転機を迎え境界を越えたと言える。でも、この事実は現世と前世の境界を意識させるもの
同時、そのルディを前にする事はフィッツに彼との境界も感じさせてしまうわけか…
ナナホシ登場時の境界線を踏み越えたと感じさせる激しい切り替えは凄まじいが、それだけに静かに切り替わる気絶後の遣り取りもインパクト充分
あの世界では目にする筈がない文字、聞く筈のない言語。境界を越えて別世界からやって来たナナホシの存在は逆にルディ自身が境界を越えて来た異物と突き付ける
ナナホシが語る転移者の物語、元の世界に戻ろうとする渇望。それらはルディの知らないものばかり
ルディが現世における事件を調べる上で前進する手掛かりとなるけど、一方で彼女が求める前世への後進は望まない
ルディとナナホシの間に境界線が有ると判るし、またルディ自身が前世に対して境界線を引いていると判る
物語としては大きく動いたが、接しながらフィッツは理解できなかった
転移事件について怒りを迸らせてもそれは無理解の証となりルディと協調できない
少し前まではルディと特別な関係に成れそうだったのにナナホシの登場で境界線が引かれた。彼女の遣り場のない気持ちはここからどうすれば良いのだろうね?
宮村は柳と違う方向で人から好かれる人間となったけど、宮村を好む人間が堀に始まり渡部や堀父など厄介な人間ばかりというのはどういう巡り合わせやら
堀家は理解できるけど、渡部は宮村を好む理由が判然としない点が余計にキモさに拍車をかけているね(笑)
宮村に纏わりつく痕跡から浮気を疑う堀。宮村の男友達の匂いを把握しているのは厄介過ぎる癖だけど、つまりは好きな人なら実体だけでなく匂いまで好きとの感覚かな
その点では宮村が浮気対策に自分の男友達の匂いを覚えるのは意味が無いし、渡部が実物より写真や声を収集しているのは結局は触れられない間柄だから
宮村と堀のマジ喧嘩、原因は忘れる程に些細なのに意地になって仲直り出来ない
これはこれで恋人のイチャコラと捉えられるけど、下手に放置すれば破局に繋がるのも事実
堀が突如持ち出した「嫌いになったんでしょ」なんて暴論、宮村からの返しが少ないから思い込んでしまう罠
だから堀と和解する為には、宮村だって堀を厄介な程好きだと伝える事が必要
仲直り後には再び宮村に纏わりつく痕跡に舞い戻った堀だけど、そこに宮村が返したのは驚きの行為
色々有ったけど、やはりこの二人は互いをきちんと好き合っている厄介なカップルだと思えるよ
バレンタインとホワイトデーという甘いイベントを描いた後に始まるのは苦々しい恋物語
チョコやケーキに関し美味しさを求めるなら既製品を買えば良い。でも美味しさ以外を伝えたいなら手作りの品となる
それは恋においても似たようなものだったと言えるのかな?
リサが須藤に渡したケーキは失敗したが一纏まりのストーリーとして評価された。それはロボが作ったものなら叶わないもの
でもそれは手作りと話していたから通じる話で。須藤のお返しは美味でも手作りと知られないから美味しさ以外は伝わらない
でも須藤はそれで良かったようで
リサに店のケーキを奢ったレオンは気持ちを伝える気が無かったのだろうね。けど気持ちが存在しないわけじゃないから、押し殺すしか無い
恋を向ける相手が「友達」を求めるなら、面倒さ等を楽しむ余地も無いなら、生の気持ちを消すしか無いか…
その発想は手作り感のないロボット的なもの
レオンの「手作り」に相当するのはきっと須藤新医院に来院した点かな
施術を行うなら他の医者でも出来る。リサとの接触を回避せず来院したのは施術以外に伝えたいものが有ったから
リサはレオンの気持ちに応えられはしない。それでもリサに伝わったレオンの生の気持ちがレオンの選択を変えたのかな……
手札が相手に筒抜け且つ包囲された状況では普段守れる者も守るのが難しくなる
限界の状況でも守りたい者は何か、その為に何が出来るか?
何もかもが極限だからこそ、それらが際立ってくる印象を覚えるEPだったね
美羽に行われたセレノアの精神攻撃は彼女の安息を利用するもの。守りたい者、守られたかった人
それはまさしく卑怯な手段。総士が言うように怒るべき状況
そして怒りは奪おうとする敵への最大の抵抗手段に成り得る
限界を迎えようとしていた零央と美三香は二人で居られる自分達を守る為に生を諦めようとした。それを許さないのが総士だね。というより彼はずっと怒っていた
その怒りは零央達を取り戻し、更なるザルヴァートル化すら呼び起こすのか
守れたけど守れなかった者、対してこれから守れるだろう者。全てに納得できるわけでないからそれにも怒りは覚える
でも怒りなんていつまで続けて良いわけではないから、怒りを解いての赦し合いも必要になってくるわけで
絶望や犠牲は有っても次の段階へ進む面々。これがマリスへの逆襲になると良いのだけど…
ミータリオ編開幕のEPはこれまで着実に培った努力や成長が表出した形に
クラウスから任務の一翼を任されるようになり、直前の襲撃でもクラウスを降参一歩手前まで追い込んだ。だからこそ目立つのはティアの不足か…
再びズレを強調するクラウス
チームのズレが個性として機能しているなら確かに問題ない。けど、それが特定個人の不調に拠るものなら別問題
ティアの認識は後者に近いのかな。ローランド、クラウス襲撃と自信喪失させる出来事が続いた事で彼女の火は消えかけている
そんな状態だから新天地での夢も展望も抱けない。他者の活躍ばかり目に入り、自分の停滞を意識してしまう
不調のティアが対峙する事に成った自分に敗北感を味合わせたローランドとの接触。ここに彼女の抱える甘さやヒーロー願望はどう活きるのかな?