正直アニメとしては特筆すべき点はあんまないかなと思うんですけど(最初らへんの勢いは良かった)、男の娘的にはなかなか面白いアニメです。
このアニメのキャラクターゆきは、見る人が見ればイッパツで女装した男だとわかるデザインになっています。
直線型の体型、スカートの中に見えるショートパンツ、チョーカー。それに男っぽい本名でいじられるシーンまであります。
ですけど、この作品は最後までそれだけで終わります。つまり、あくまで彼(彼女?)は女装した男かもしれないという可能性を提示するのみで終わるのです。
秀吉にしろ、ルカ子にしろ、ゾンビランドサガのあいつにしろ、本来男の娘キャラは「男である」という要素が萌え的にもウリなので、遅かれ早かれ「男バレ」の展開がつきものだと思っています。
しかしこのアニメではそれをしません。
ハッカドールのあの回ほどではないけど、この作品も男の娘アニメ史に名を残すことでしょう。
まあ彼(彼女)は男の娘というより、本格的にMtFっぽいキャラな気もするので、現代的な演出なのかも。
こういうの見ると令和になったんだなーと思います。
個人的に男の娘史に残る回だと思っています。
というのも、男の娘キャラには必ず"バレる"回がつきものなわけですけど、この回は男の娘(3号くん)が朝起きたら女の子になっててびっくりする、という展開で逆説的に彼の性別を明かすのです。
つまり、TSと男の娘バレを同時にやってのけているわけです。
これ見た時はほんと感動したなー
個人的トンチキアニメの金字塔です。
二次元くん以外の全ての登場人物の思考が理解できないため、だんだん観ている自分の方がおかしいんじゃないかという気持ちになります。
特に主人公の情緒は常に不安定で、私は男のメンヘラに需要はない、みたいな言説を常に憎んでいますが、このアニメを観るとさすがの私も頭を抱えたくなります。
踊りながら光の中へと消えていく多田万里のシーンを見ずに平成アニメを語ることは許されないでしょう。
あとなんか事故りそうになる回も好き。
メインヒロインも高飛車というより本気で頭がおかしいけど、堀江由衣が演じると可愛い気がしてくるから流石です。彼女は電撃文庫の格ゲーにもサポートキャラとして登場するんですが、技が花束ビンタで笑いました。
「おまけん」の語感、林田のあだ名がリンダ、NANA先輩など、センスも全体的になんかダサくて良いです。
そしてクレイジーな本編を素晴らしいOP・ED曲でガッチリ固めてるのも良い。清竜人はいけすかないですけど、堀江由衣との曲は本当に良い、悔しいけど。
WOWWOWスクランブルのしょーもな萌え萌えアニメシリーズ。たぶんこのシリーズの一作目?
2000年の作品で、まだなのはもハルヒも電車男もなかった時代の萌え萌えハーレムものなので、一切の俯瞰的視点のない萌えの原液みたいなヒロインと描写が怒涛の勢いで襲ってきます。いやーこれ最高だなー。
メイの最初の主人公との会話が、完全にキャバ嬢とかコンカフェ嬢の手法で笑っちゃいました。こういうのが出来てた時代、良い。
話は基本的にずっとトンチキなんですけど、特に11話はずっと頭おかしくてほんと良かったです。
あと釘宮理恵がこの手のアニメでメイン級の萌え萌えキャラをやったのは実はこれが最初だと思うんですけど、あんま知られてないですね…知られるような作品でもないでしょうけど。釘宮理恵はこの頃からやっぱり凄い。
あとOPが超絶良いです。
WOWWOWスクランブル放送のアニメはしょーもないのが多くて好きなのですが、これは輪をかけてナスティですね。
キャラクターデザイン的に、HAND MAID メイ、あいまいみぃからの3作目にあたるのかな?
まあハッキリ言って中身は皆無に等しく、脚本のほとんどがギャグとパロディで構成されてるのですが、それが私のような人間にはたまらないです。
あと、この作品はもうロリベーダーズZがとにかく萌え萌えで、それだけで観る価値あります。EDはほんと最高。
あと、この作品にはヒロインが全員眼鏡っ娘という謎のギミックがありますが、そこはあんまり意味なかったような…あまり眼鏡っ子への愛を感じなかったかも。
ハッキリ言って、前情報なしに観るのはかなりキツいですが、原作者のバックグラウンドを知れば味わい深い作品です。
非常に女性オタク的(女性的ではなく、文化圏としての女性オタク的、念のため)な感性で作られた作品だと思いますけど、それがああいう背景を持った人から出てくるのがとても面白いですね。
意識的に、私のような人間が喜ぶ「きらら」的な会話劇にはならないように作られてる気がします。
和田の人間性は陰キャというよりフェムセル的だと思いますけど、ああいうキャラクターが氏から生み出されるのが(同じこと言ってますけど…)面白いし、だんだん彼女の愚かさが可愛く見えてきて良かったです。
色々な意味で味わい深いアニメでした。
主人公が日めくりカレンダーを常時持ち歩いてるシーンを見たときはこのアニメ本当に大丈夫なのか?と思ったものですが、完走してみると意外にも(?)素晴らしいアニメでした。
まず大前提として、OPがちゃんとアカペラ曲なのが素晴らしい。アカペラがテーマなんだから当然だろと思うかもしれないけど、こういう気配りができるかどうかはやっぱり大事です。あと、基本的にサントラも環境音のみで、極力作品内の音を人間の声だけに絞ることを意識してるんだなあと推察します。こういうところにも非常にテーマへの真摯さを感じましたね。
脚本も、アカペラとは何か?アカペラを人とやるとはどういうことか?アカペラを部活でやるとはどういうことか?というテーマに真摯に向き合っていて、とても出来が良いです。
そりゃあ、部活には楽しくやりたい人もいれば、ガチでやりたい人もいますよね。才能の差だってあるでしょう。そのどちらを否定することなく、アカペラという音楽の特性に絡めて纏める終盤の流れは落涙せざるを得ませんでした。
キャラクターについて言えば、やはり主人公の小牧嬉歌に萌えてしまいましたね。ぼっちざろっく以降いわゆる陰キャ設定のキャラは増える一方だと思いますけど、彼女は結構新しいタイプかな?と思います。卑屈さがかわいい。
少し地味かもですが、部活ものとしても音楽ものとしても出来のよい良作だと思いました。
ビビア・ストレンジが萌え萌えすぎる、それに尽きます。
生意気ショタとして完璧な可愛さを持ちながら、少年キャラにしかできない役回りもしっかりこなせるバランスのキャラ造形になってるのが素晴らしかったです。
明らかにデニスとの絡みや出番も多いので、実際コミカライズ担当のつむみ氏も含め作り手も彼への思い入れは大きいんじゃないかな?と感じます(私の思い込みかもしれませんけど…)。
個人的には一度も女装シーンが無かったのがとても残念なのですが、作り手のあくまで可愛い男の子として描こうという気負いを感じられたので、それもまた良しです。
今期のベストヒロイン賞は彼に捧げたいと思います。女装してくれ!!
YouTubeで本作のOPをドラムでカバーしてる外人を発見し、彼があまりにクールだったため視聴。
キャラクターデザインがTo Heartの千羽由利子で、本当に美麗です。上手く行ってる部分は。
途中まではキャラも萌え萌えでかなり良いのですが、正直後半は厳しかったかな…。アイコンに使っておいて本当申し訳ないんですが。
でも千羽由利子の繊細かつ美麗なキャラクターデザインを楽しみたい方は見ておいて損はないでしょう。彼女の絵柄がこの路線なのはたぶんこの時期くらいまでだった気がしますし。
しかし、この作品は当時どれくらい人気があったのでしょうか…なかなか人気あったみたいですけど。
「おにあい」と並んでキング・オブ・ナスティ・ライトノベル・アニメの金字塔の一つでしょう。
俺はこういうアニメが好きなんだよ!と子供部屋の中心で叫びたくなるような作品です。
とにかく下品なエロ波状攻撃の連続&連続で、息を吐く暇もありません。こういうのはやっぱり勢いが大事ですよね。
特に3話はほんと凄い。男装の麗人キャラに押し倒された主人公を見て、彼を同性愛者だと勘違いしたヒロインたちが「病気を治すため」と主人公に色仕掛けを仕掛けまくったり、マムシドリンクを盛ったりする、令和の視点だと何もかもがダメな話なんですが、やっぱりこういう雰囲気が深夜アニメだと思うんですよ。低俗さや下品さがなくちゃダメなんです。自分にとって、深夜の萌えアニメはいつまでもこれなんです。
メインヒロイン役の石原夏織は本当最高だし(個人的にはゆいよりかおり派です、声優としては)、佐倉綾音も良いです。石原夏織のちょっとうわずった感じの声が本当好きなんですよね。
OPも名曲で最高にテンション上がるし、アッパーなのが欲しい時は間違いないです。
TSモノなので鑑賞。
まず、作画が凄く良いです。ずっと崩れることなく高品質で、流石はCygames Picturesと言う感じ。
ギャグは視聴開始時は正直かなり厳しいものを感じていたのですが、視聴を続けるにつれだんだん噛み合ってきました。キリトのパロディみたいなキャラが好きです。
この作品のテーマは、ホモソーシャルの根底にあるものは何か、というところかなと感じました。
原作者は夫婦で、奥さんが脚本担当、旦那さんが作画担当というなかなか珍しい編成で書かれているだけあって、脚本担当の方はたぶん本当はBLとか描きたいのかな〜と思います。私はBL読んだことないので、全て偏見ですけどね。
この作品の基本的な話の推進力・加えてギャグは、お互いを好きになる呪いをかけられたライバル同士の男とTS娘が、お互いに(元)男だからという理由で踏み止まる、みたいな感じです。相手を好きになる前に呪いを解こう、というわけです。ここの描写はかなり誇張された表現になっている気がしますが。しかし、お互いに可憐さ(=弱さ)、逞しさ(=強さ)に惹かれあってしまい、だんだんなんで好きになっちゃいけないんだっけ?てな感じになっていきます。
ただ重要なことは、話が進むごとに、そもそも2人ともTS前からお互いのことがほぼほぼ好きだった、と明らかになっていく点です。
つまりこの作品では、TSはホモソーシャルが持つ壁を壊すきっかけとしての機能しかありません。
実際、かなり意図的にTS後のデザインはギザ歯の貧乳で、媚びの少ないデザインになってると思います。TS好きとしては、全然もっと美少女然としていて欲しかったものですが、テーマにそぐわないってことなんでしょう。
TS好き(あと一部の腐女子)はホモソーシャルとホモセクシュアルを阻む壁が崩壊する瞬間に性的興奮を覚える異常性愛者と考えていますが、そう言う人にとってはたまらないかもしれませんね。
原作がまだ続いてるのか知らないですけど、この話を綺麗に終わらすなら現実世界に帰って付き合う、みたいなことをする以外ないのかなーと思いました。
TSモノなので鑑賞。
とはいうものの、この作品における救いの本質は、女の子になることではなく幼児退行の方だと思います。
確かに、女体化によって男性性に紐付けられた社会貢献への責任、及びそこに裏付けられた優秀な妹への劣等感からは解放されていますが、本作ではその結果妹がヤングケアラーの重荷を背負う結果になっているので、あまり美談とは思えません。
まあ、いい歳こいて相応の社会性を得られない人間は女子供になった方がマシだ、ということでしょう。大阪大学卒の人間が言うんだから間違いありません。
実際、私も彼の抱える劣等感には大変覚えがあるので、まひろちゃんになれるならなりたいものですが、下の兄妹に劣等感を抱き社会から逃げる自分のような人間を、高野麻里佳は嗤いながら演じていたことでしょう。
OPと作画はほんといいです。
私の中で永遠を手にしたアニメを選ぶなら、やはりこの作品ということになります。
好きなアニメを聞かれたときこの作品の名前を出すと、9割方鼻で笑われますが、それでも私は好きなんです。
なぜ私がこの作品をここまで好きなのかというと、もちろん第一にアニメとしてのクオリティの高さがありますが、加えて、この作品は極めて宗教的な楽園に近い世界を描写しているからでしょう。
地獄の風景は容易に想像できるけれど、楽園となるとそうはいかない、と誰かが言っていましたが、私はそうは思いません。なぜなら、七森中学のことを考えれば良いだけだからです。
楽園の定義を、永遠の庇護と安寧とするならば、この作品の世界はまさしくそれでしょう。
まあ、こういった日常系作品の世界は大抵楽園に近いのですが、ゆるゆり♪♪は中でも最も純度が高いと言えます。
少女たちの終わらない日常を描写するにしても、例えば「けいおん!」ならば、一応は部活という人生の目的があるし、何より時間の概念が存在します。彼女たちは卒業してしまうのですから。「きんいろモザイク」には、男性が存在します。男性は存在そのものが競争を孕んでいるので、楽園にはそぐわないでしょう。競争が存在する世界に、永遠の庇護と安寧はありえないからです。彼女たちも学年が上がりますしね。「ごちうさ」には、労働の概念が存在します。これもよくありません。
と、このように、楽園にそぐわない要素を削っていくと、私はゆるゆり♪♪が残るように思うのです。
まず、「ごらく部」は、部と名前には入るものの、実際には茶道部室を占拠しているだけの集団であり、部活ではありません。みんなでだらだらしながら駄弁る、これが唯一の目的です。つまり、一切の成長への意思がないということです。成長への意思はすなわち競争への意思に他ならないので、楽園を描写するにあたって、彼女たちのスタンスはベストです。
ここまで読んだところで、生徒会はどうなるんだ?と疑問に思う方も当然いらっしゃるかと思います。生徒会そのものが成長への意思を感じさせるし、何より櫻子と向日葵は次期生徒会長の座を狙って競争しているじゃないか、と。しかし、ここでカギになってくるのが、時間という概念のオミットです。原作者も公言している通り、ゆるゆり♪♪の世界はいわゆるサザエさん時空で、時間が流れることはありません。つまり、いくら2人が競争をしたところで、お互いに生徒会長の座につくことはありません。つまり彼女たちには、予感だけがあるということです。ゆるゆり♪♪の世界では、たとえ成長への意思を持ったところで、未来への予感があるのみで、未来が訪れることはないのです。私はこれを素晴らしいと思います。予感に勝る未来はないからです。
この手の作品では高校生の設定が多い中で、あえて登場人物をさらに未熟な中学生に設定しているのも、「予感」度を高めていて良い。真面目に推察するならば、「ゆるい百合」というテーマをコミック百合姫という媒体で描くにあたって、高校生になると恋愛の純度が濃くなってしまうから、ということで、中学生ということにしたのかな、と思いますが、前述のとおり彼女たちが高校生になることはないので、恋愛も予感だけで終わります。
もちろん舞台は女子校なので、男性は存在しません。というか、あの世界に富山県と東京ビッグサイト以外の場所はおそらく存在しないことでしょう。あの世界は永遠の箱庭なのですから。
箱庭の中で、未来への期待と予感に包まれながら、しかし結果は訪れることなく、少女たちが永遠の時を過ごす。これが楽園なのだと思います。
さて、思いの丈が強すぎて、全く関係のない自論をつらつら書いてしまいましたが、冒頭でも記したとおり、この作品の魅力は、アニメ(ーション)としてのクオリティの高さと気持ちよさ、それによって生まれる可愛さにあります。
私は2010年代(特に前半)の動画工房・太田雅彦監督作品がとても好きなのですが、その中で代表作を選ぶならこれになるでしょう。個人の感想ですが、やはりゆるゆりよりゆるゆり♪♪派です。
OPを見ればイッパツでわかる通り、まず作画が凄い。一期より格段にクオリティが上がってると思います。ヌルヌル動く作画で、これでもかとキャラの可愛さを表現していて、京子のエアギターのところとか、現行のアニメと比べても全く遜色ないです。サビ部分の、カメラに向かってぐわんぐわん動くところとか、いつ見ても感動します。
あと、特に二期に顕著ですけど、絵のほとんどが曲線で構成されてるのが本当に良くて、あと首元の線の抜き方とか、口開けたときの崩し方とか…とにかく完璧なんです。自分の好きなアニメの要素って全てここにあるな、と思いますね。
話については、太田雅彦の資質によるところが大きいでしょうが、アニメでは、原作のギャグ漫画としての側面にフォーカスした作りになっていて、そこが原作のファンには不評なところかと思いますが、私のような楽園を求める者にとっては、より心地よいチューニングとなっていると感じます。OPのアッカリーンの天丼、アイキャッチ、軽妙な良いテンポとギャグ、全てが心地良く楽園を形作っています。なんというか、毎回必ず冒頭のアッカリーンがあることで、今週もゆるゆりが始まったぞ!長かったなあって、なんだか嬉しくなって、30分だけ自分のいる現実から楽園の世界に切り替わるような感じがするので、やっぱり大事だと思います、これ。
あと、これは他の太田雅彦・あおしまたかしのタッグ作品にも言えることですが、室内音楽風のBGMが作品にマッチしていてとても好きです。アバンのBGMとかほんと良くて、ストリングスだけど重厚すぎない音色が、作品世界を温かく支えていると思います。
好きなキャラは…まあ全員萌え萌えなので選べないですけど、やっぱりあかりでしょうか。
原作と比べてもあかりの存在感いじりみたいなのは確かに強調されてて、まあ太田雅彦はギャグの人なんでオチ要員として使いやすいってことなんでしょうけど、当時からあかりいじりはやりすぎ、みたいなこと言われてて、実際ドラマCDとかそうなんですけど、やっぱり不憫で健気なあかりに萌えてしまう自分がいます。
あと、私はとにかくEDが好きです。一期からそうですけど本編とはちょっと違うパステルカラーな絵で描写される下校の風景が、EDテーマの曲調も相まって明るいのになぜかノスタルジックで…。私は中学生のときリアルタイムで視聴していましたが、自分もずっと彼女たちと同じ中学生のままこのアニメを見ている時間を繰り返していたいな、と思ったものです。
とにかく、私はいつか「100%ちゅ〜学生」のジャケットの世界に行きたいと常に考えています。百合の間に挟まりたいみたいなことではないので、あかりたちがいるかどうかは関係ありません。そこには、鼻で笑ってくる人間はいないからです。