予告映像とか特に見ずに見た為に動き過ぎと表現しても過言ではない本編にガチで驚愕。めっちゃ身体が動き回るし、めっちゃ髪の毛とか揺れてるね⋯
そういう作りだから動作にばかり目が引き寄せられてしまうけれど、本作はそうした賑やかさとなる「動」の表現とれんげの雰囲気に代表される寂しさの「静」が併せ持たれた作品に思えましたよ
敵は正体不明の敵、そしてゆり達が使う武器も未知のもの。トドメとして怒涛のように繰り出される台詞の数々は一つ一つへの注意力を散漫とさせつつ、それらの物事を大いに楽しむ準備運動としてくれるね
その対極として放り込まれたのがれんげの持つ寂しさかな
記憶も友達もなく街を彷徨っていたれんげに有ったのはゆり達が持つ雰囲気と全く異なるもの
意外に思えたのはそんな両者が合流し、ゆり達の賑やかさに当てられてれんげが楽しげな雰囲気を放つようになる点か。おまけにかっぽ~コーナーなんて始めるし
そうしてゆり達の「動」に取り込まれるかと思いきや、記憶を持たない非共通項により境界線が引かれた印象
ずっと一緒に居るけど友達になれないゆり達と、そんな彼女らとの出会いで一生の友達を手にしたれんげ。その認識の違いはこれからどう描かれるのかな?
待たされた最終回は志帆と亜季の関係を仕切り直すものに
志帆が明らかにさざるを得なかった想いは亜季が別の人物に片思いしている以上は叶わぬもの。対して亜季は同様の想いを持ちつつも友人という立ち位置に自分を留める事で関係を壊さなかった
志帆は留まれば関係を壊すと知っているから、先んじて壊そうとしている。そこで片思いの恋を叶えたひまりと依が志帆と亜季のキューピッドになる構図は良かったね
でも、そういう努力は別に志帆も亜季も頼み込んだものではない。その意味では余計なお節介かも知れないけれど、そうした踏み込みが亜季にも志帆にも想いを素直にする機会を与えるものとなっているね
亜季を前にしての志帆の叫びは想いの発露そのもの。でも、志帆と向き合う事が彼女の想いを詳らかにすると考えていなかった亜季は想いを受け止めきれないと
一度知ってしまった想いは止まらない。だから志帆はバンド抜けたわけだし。同じように亜季だって志帆への想いを行動力へと変えられたのかもしれない
状況を変えるきっかけとなるのは亜季と依の関係が変わっていた点か
無理矢理のように片思いに蓋をして友人だと誤魔化した。でも、そう思い込み続ける内に亜季の中で真実になっていたというのは良い兆候
ただ、亜季がそう出来たから志帆にも出来るなんて一種の暴論。だからこそ、最後は志帆自身が踏み込む必要があって
そこで志帆に多大な後悔を齎したキョウが志帆の背を押す展開は良いね。それでようやく志帆は恐れずに前へと進めたわけだ
ただ、この最終回でどうにも気になってしまう点は志帆と亜季に関する比重が大きくなり過ぎて、ひまりと依が二人一緒に居るシーンが少ない点か…
というか、最終回に限らずも取捨選択の関係でひまりと依のいちゃつく場面がかなり削られている点は気になってしまったり
ローレライの志帆という強烈なキャラクター性を持つ人物への比重を増やして物語は相応の帰結を見せたわけだけど、代わりに削られた諸々を思うとやっぱりアニメ化って簡単ではないんだなと思わされたり…
戦いを経て大切な者が帰ってきて旅の終わりと思いきや、それとて大きな旅の一部と訴えてくるのような最終回に思えたよ
千夜も迅火も真介も村に戻ってきた。なのに、そこから自身の旅を仕舞いにする為に新たな旅を始めた。迅火とたまは約束を果たしに、真介は平和の邪魔を片付けに、千夜と月湖は友との別れを
それ彼らにとっての遣り残しであり、一つの旅が終わったから手を付けられる事であり⋯
それぞれの旅は全くの別種。けれど、真介の復讐が迅火とたまに益を齎し、迅火とたまの幸運は長く生きる者の在り方を教えてくれる。ただ、長命による変容はすぐに影響するものではないから、千夜と月湖は同じ時を過ごした旅の仲間として、なうとのお別れを惜しむ事が出来る。彼らの旅はあそこで一区切り付いたかもしれないけれど、彼らの思い出は消えること無く残り続けるのだろうね
ただ、同じ時間感覚はいつまでも続かないと教えてくれるのが月湖の涙かな⋯
千夜は幾度もの衝突の果てに月湖の隣に留まると選んだ。でも、それは月湖と同じ旅が出来るという話ではない
千夜と月湖が共に過ごした年月は確かに幸福なものであったのだろうね。でも、同時にそれは旅を止めているようなもの。時が流れるように人の生き死にも移ろいゆく生活に千夜は同行できない
だから千夜は本当の旅に出る。その旅が誰とも共有できないものではなく、同じように長命を生きるムドや迅火、せつとの付き合いが続いているというのは良かったよ
トボけたように生きる千夜はただ生きているのではなく、生きる為に生きる、進む為に進む、旅をする為に歩き続けている。それは手段が目的となっているようでいて、長命を楽しむ彼なりの手法であり、同時に彼の中に留まり続ける暖かさが意味を持って彼を活かしていると伝わってくる。彼は今でも多くと共に在ると判る
それはまるで、迅火や千夜の旅を見守り続けた私達にも暖かい何かを授けてくれると感じられるラストでしたよ
終わりは賑やかさより叙情的な風景を優先した趣深い回となったね
前回のレイコが素晴らしい景色を大切な人と共有したかったという話と繋がるかのような要素が見られたね
自分の見た美しい風景を誰かと共有したい見せてやりたい、そう思うのはその風景が不変でないと知っているから。でも変わるからこそ、幾つもの美しい風景に出会えるのかもしれない
夏目はあの街で様々な繋がりと巡り合った。けれど妖とは少し関わってそれっきりというパターンが多い。それはまるであの街にいながら一期一会の旅をしているみたい
また、普通は自分が見た風景を誰かと共有するには一緒に見る以外に無いけれど、遠くへ行けない者に対して夢を通して自分が味わった風景を見せるとは相手を遠い旅先へと連れて行ってくれたかのよう
オリガミが見せてくれたのは容易く出会えないからこそ誰かに教えたくなる素晴らしい夢景色、誰かと共有したいけれど、簡単には共有出来ないから余計に美しくなる
すぐに共有できない光景を想像させるのは何も妖だけの特権ではないね
恋の歌を見て詠み人が過ごした光景を想像する。庭に芽吹いた蕾を見て咲く季節を想像する。また、夏目も何気ない風景に興味を示すオリガミを通して景色の見え方、想像の仕方が変わってくるね
そうした点を踏まえてか、この最終回はこれまで夏目が過ごした日常を当たり前のものと描きつつ、最終回である為か風景の尊さを再認識できた為か、いつもと少し違って見えたのは面白い
オリガミは夏目やニャンコ先生に多くの景色を見せてくれたけど、夏目もオリガミに沢山の景色を見せてやれた。それは互いにお礼を贈り合っているかのよう
夏目が過ごした新たな一期一会。もう一度は出会えないかもしれないからこそ美しく感じられるその出会い、オリガミが残してくれた綺麗な花
私達が『夏目友人帳』という作品を通して味わう多幸感を改めて描いてくれたかのように感じられるとても良いエピソードでしたよ
闇になろうと己を壊した迅火を満たすものを問い直した時、ようやく彼はたまの傍へ帰れたように思えるとても良いエピソード
千夜は己に住まう闇や彼を大切に想う者達との繋がりにより己を満たして高みまで辿り着いた。それは千夜が人として在りたい姿の最終形。多くと共に在る者と確立された彼は千本妖狐と渡り合える
なら、そんな境地に辿り着いた千夜と渡り合う迅火は何により己を満たしたのかと改めて考えてしまう
迅火はたまと共に過ごせる闇になる為に人を捨てようとした。その果てに人どころか己を葬り捨てる羽目になった。それはどう見ても願いを成就した姿とは言えない。迅火の心象風景に描かれたようにそのような在り方は寂しいもの
だから迅火を迎えに行った真介達が彼に投げ掛けるべきは言葉ではなく温かさになるのかもしれない
どんな言葉を拳も拒絶の壁を通りはしない。でも、彼は自らの意志で温かみに向けて動き出す事は出来る
ならば彼と向き合えたたまが彼に授けるべきも、やはり温かみとなるのだろうね。
よくよく考えれば、たまが授ける温かみは迅火が闇を目指さなくても元より持ち合わせていたもの。加えて嫌いだった筈の人間の中で好きな人間も見出せた。それは紛れもなく彼を満たす温かさ
そうした極みとして愛へと回帰し、彼はようやくにして暗黒の世界から抜け出せたのだと思えたよ
最後の最後に大暴れした迅火の力、虚無という彼が迷い込んだ有り様を端的に表す力に対して、千夜が虚無を満たす選択をするのは良かった
多くと共に有る者として千夜が辿り着いた境地。今の千夜に満たせぬ器はないし、愛を知った迅火も同じように虚無を満たす在り方を備えていると判る
次回は遂に最終回。水上悟志作品の真髄は戦いが終わった後の日常風景にこそあると思っているだけに、それをどのように演出してくれるのか、とても楽しみですよ
雪への想いに揺れる人好は先へ進む勇気が無いだけに留まらず、恋の定義や家族への執着等が雪との関係を変える事を恐れさせていたようで
人好と雪は全くの他人からもち太を含め家族っぽい関係になった。時には李恋が加わって家族的な賑やかさが増す場合も有る
それだけに人好と雪の2人に限った場合、自分達の関係をどう定義するか?という点は家族関係で満足できない想いを抱えるだけに特に人好を揺らがしてしまうようで
普通の家族間であれば、添い寝をしたり少し下着が透けた処で感情を取り乱したりはしない。つまり、人好が雪の様々な姿に動揺してしまうのはそれだけ彼女を特別視している証拠でも有って
でも、彼女とは家族的な関係も維持したい。そうしたチグハグな感情が雪への過剰な拒絶になってしまうのは仕方ないとして、それが雪の感情までバグらせてしまうとは驚き
彼女は彼女で人好との家族的な関係を心の拠り所としている
そもそも人好と雪の関係が揺らいでいるという話なのだから、2人で解決策を見つけるのも難しい。人好の家族である李恋でも同様
そこで雪の友人であるナカの出番となるわけだ
彼女も家族との関係において涙を流した経験があるが、今は流さずに済んでいる。彼女は涙溢れ症状の先輩と言えて、そんな前向きな言葉が身に沁みたから雪も改めて人好達と一緒に居たいと思い直せたのだろうね
そんなタイミングで現れるのは人好の実の家族であり、色々因縁がありそうな父親。彼は人好と雪の関係を見て何を言うのだろうね?
引き続き恋愛感情に惑わされる大喜の姿が描かれるね
千夏との間には変わらず線が引かれたまま。そうして曖昧な心境となった大喜を雛が見て心穏やかになれない為に今度は雛のターンになるとわけだ
ただ、大喜は未だ雛を恋愛対象として全く意識出来ていない。その意味では雛はまず大喜から異性だと意識される事から始めなければならない。大喜に想われる千夏に対抗する雛としては厳しいところだね
雛を意識する男子が居る点を認識しているように大喜は雛が女子であると知っている。でも2人の始まりはそうした要素をあまり意識させないものだね
大喜は堂々と林檎飴を欲しがる雛の姿に女子らしからぬ姿を見た。だから友達に渡すかのように林檎飴を渡せた。そうして始まった2人だから距離はとても近いものとなったんだろうけど、始まりに異性を意識させるものでなかった点は今になっても2人の関係を変えられない要因となっているような
だからって雛が頑張って誘ったのにデートと認識されないのは悲しいものがあるけれどね
でも大喜は第一印象が不変であるとは限らないと今回知れた筈
針生がライバル視する兵頭の存在は大喜とて同様に警戒する。でも彼は普通の先輩かのように大喜にアドバイスしたね
だから大喜は普通の先輩後輩のように、彼と努力目標について語り合えた
ならば、二人きりの花火大会デートは親友枠である雛への印象を変える機会と成り得るような
これは雛にとって正念場だし、大喜にとって雛との関係をどうしていくか選択を迫られるものとなりそうな予感…
無の民には救いの道が描かれた。それを成し遂げた千夜はけれど自身に救いがあると思っていなかったようで
救いが無いから放浪するしかない。悲壮な彼の覚悟は他方で彼に想いを寄せる月湖を無視するもの
この擦れ違いの根源に何があるのか。それを潜り探る話となったね
己を人の世に有ってはいけないと話す千夜は居場所が無いと言っているようなもの。同じく離れようとしたなうは居場所が有るから帰らなければならないのとは雲泥の差
でも、長い時間を共に過ごした月湖にとっては千夜の発言は許し難いし、真介も千夜の認識を正さねばと思う
ただ、千夜が救われるにはそれこそ自分で自身を救うしか無い
そうして幽界で明らかになるのは彼は自身を救いたいのではなく滅ぼしたいとの罪悪感。野禅の言葉が無くても彼は自分を人間として許すつもりなんて欠片もなかった訳だ
自分勝手な破滅願望、それを空気を読まない飛び蹴りで止めた月湖は良い女房ですよ。月湖にとっては千夜こそ共に在りたい者。月湖には千夜が居場所で、ならば千夜にとっても月湖は居場所となる
そうした認知の改善が、千夜を千の闇が埋め込まれた人間ではなく、多くと共に在る者と再定義するのは良かったな…
彼がどれだけ変わってしまったとしても、彼と共に在る者達は変わらない
多くを救い、己自身をも救った千夜が次に救うは自ら滅びに突き進んだ千本妖狐・迅火。灼岩も戻ってきたのだからいい加減に迅火・たま・真介・灼岩が揃ったシーンを見たいものですよ
儀式の邪魔をする妖は邪悪な存在ではなく、恩返し目的の臆病な妖だったようで
ただ、一つ目の妖が恩を返したい政清はもう何処にも居ない。そこにはままならなさを感じてしまうね
人と妖の違い、生きる時間の違い、そして住む人がいなくなっても変わらぬ家。そうした変わるものと変わらぬものが交わる世の中では人も妖もままならなさと折り合いを付けて行く事でしか生きていけないのかもしれないと考えてしまったよ
政清が家なんて無くなってしまえばいいと言ったのはきっと己の家を憎んでではなく、彼に纏わりつく三春という家のままならなさに苦しんでの発言ではないかと思えてしまう。彼自身は三春の家を滅ぼさなかったのだろうし
でも、そんな細かい感情は妖に通じない。一つ目の妖は単純な答えとして家を滅ぼせば良いなんて考えてしまう。もうそこに家人は居ないのに
もはや意味を持たない願いには虚しさを覚えてしまいそうになる。けれど、夏目は妖を見捨てなかったね
夏目も妖が見える者としてままならない人生を過ごしてきたが妖と関わる事を辞められない。その意味では彼はままならない人生と折り合えているのだろうと思える
だから一つ目の妖に、自由に生きられない政清が願った「自由」の尊さを改めて伝えたのだろうね
別の視点を持てば、飄々とした風に見える的場とてままならない家で生きる人物だし、琵琶と名取に纏わる思い出もちょっとした苦みがあるもの
そんな彼にとって滑稽で厄介な妖と生きる夏目が普通に過ごし続ける姿は羨望と安心を覚えるものではないか、なんて深読みしてしまう
名取すら稀と認識する夏目と妖の折り合い方。それだけに最後の夏目の台詞には強がりではない優しさに満ちた自由さを見出だせるのではないか思えてしまったよ
人好と雪が家族らしさを突き詰めようとするならばそれこそ家族になるしか無く、互いの恋愛感情はどうなっているのかと初期から気になっていたのだけど、今回はその点をフォーカスした話に
そんな折に人好へ届くのは実父からの通知。家族になれば何もかも温かい関係に成れるわけではないと示唆する表情はだからこそ雪に人好に元気になって貰いたいとの想いの源となったような
それは間接的に雪と人好が家族に近づいているのだとも感じさせるね
ただ、当の本人達は自身の恋愛感情を表に出さないね。雪は恋より家族という感じだし、人好は察して自分の感情に蓋をしている
だから家族らしい遣り取りをするのだけど、それだけに油断した際に飛び出す感情が2人をドギマギさせているね
また、2人を仲介する役割の李恋も良い動きをしている。彼女は第三者的ポジで2人の関係性を言い表してくれる。特に片想い診断はナイスプレー。これにより人好も雪も言葉にする形で相手を特別に想っていると自覚できるもの
炬燵での天誅は図らずもその点を強調する形に
炬燵に潜らせた脚で相手の脚を蹴るなんて家族ならではの悪戯。人好は李恋相手だったからそんな行為をしたのだけど、相手はまさかの雪
そして雪からすればそんな悪戯をされるのは心置きない相手と思われているようなもので
家族的な気安さからした行為が結果的に恋人間の秘密のサインみたくなったのは面白く感じられましたよ
折角の試験はまさかのトラブルによって未受験に終わりましたか。こんな展開予想できるかと思ってしまうけれど、学校全体に起こったトラブルは更に大規模で予想不可な代物
マ組は影響なくて普通科だけ生気を奪われる謎の症状。でも普通科でも平気な者が居たりとその基準は謎
これに古代魔法が絡むのならば、キョウが疑問に感じるようにこの異変は魔法そのもの正体にも繋がりそうな予感
魔法使いになれるかもしれない折角の機会でクルミとユズが人助けを優先したのは良かったな
最初はただ魔法使いになりたいだけだった二人は様々な夢が飛び交う普通科を経てどのような人間になりたいかを見定められた。だから人助けをしない魔法使いに魅力なんて感じないわけだ
誰かを助けたいなら、それは目の前の人だけじゃない。学校全体が対象
病症の根本原因、ひいては魔素の謎にも突っ込んでいく必要があるのだろうけど、そんなの何も知らない学生だけで判るわけがない
ここに来て裏から見守るばかりだったカイが関わり、ミナミを助け出したのはいよいよ状況が切迫してきたのだと感じられる
手帳魔法に頼れない事態、果たしてクルミは皆を助けられる魔法使いに成れるのだろうか?
千夏との接触は大喜に敗退のショックを忘れさせるけれど、代わりに彼女へのもやもやとした感情を残すものに
何かを期待せざるを得ない接触。けど実は何も無いかもしれない。あやふやな状況は大喜の目標が中途半端な状況になってしまった事も影響しているような
インターハイへは行けなかった。期末試験も終わり、夏休みに入る。そのような状況では恋から目を逸らすものなんて存在しない。だから大喜は千夏への恋愛感情に振り回されてしまう
一方で千夏の側も感情に振り回されている素振りが見えるのは面白いね
不意に接触した際は大喜を突き放すかのようにあっさり身を引いた。あれは傍から見ればラブコメのようなワンシーンと思えるだけにあそこから恋が始まる可能性まで頭に浮かんでしまう
でも千夏はシンプルで無いという。大喜の父が彼女の考え方を真面目と評したように、千夏はいつだって大喜の家に居候している事実を重く見ている。だから恋愛感情に揺らいでしまうを良しとしない
千夏があの件を忘れようと言い放ったのは彼女にとってあの家で過ごす中で大喜との過度な接触は不要だという話。きっと千夏にとって異性としての大喜は自分を惑わせるものなのかな…。彼女はバスケの為に猪股家に住む決意をしたわけだから
でもバドの大会が終わってしまった大喜は彼女と同じ心地で居られない。ここに来て大喜と千夏の目標地点の違いが強調されてくるね
恋愛感情に振り回される大喜と千夏、それを近くで見せつけられる雛
恋愛と部活動が複雑に織り成す物語はこれからどう展開して行くのだろうね?
本来の家主が去った侘しい家屋で行われるのは異形を迎え入れる儀式ですか
本作では人と妖の様々な距離感を描いてきたけど、厄介だと感じつつも人が妖を迎え入れようとするとはちょっと珍しい傾向のEPかもしれない
でも三柱様の始末を的場が考えているように、別に人と三柱様は良好な関係ではない。それでも迎えなければ災いが訪れるから迎え入れる
名取が懸念するように異形との約束の危うさを面白い形で描く事になりそうな
ただ、三柱様を迎え入れるだけでは的場が場を支配して終わる。けれど、的場が把握していない邪魔者が登場する事で場の支配者が不明瞭となるね
そもそも夏目と名取はあの家に紛れ込んでしまっただけで本来は儀式に協力する義務なんてない。けれど、邪魔者の行為に巻き込まれた事で夏目達はあの屋敷に迷い込む事になったと言える。また、儀式を進ませまいと的場と名取を閉じ込めるなんて事もしている
その意味ではあの家で起きる事柄を支配しているのは謎の邪魔者とも言えるのかな
けれど、夏目は巻き込まれながらもあの屋敷に留まると選択し、更には的場が言う始末も批判的な立場を崩さなかった
他者の支配を受け容れず、自分で判断する考えを持ち続けていると見る事も出来るのかな?
そんな夏目が邪魔者らしき存在と接触した。これは三柱様を迎え入れる儀式を進める上でどのような事態を展開させる事になるのかな?
只者ではないと思わせていた日陰兄妹が別の意味で只者じゃなかった…。というか、武のキャラがかなり濃い……
けれど、妹のナカについてはこの回で結構深堀りされた印象。正体を隠して学校に通う雪に突如近づいてきた上がり症のナカとて正体の見えないタイプ
けれど、雪と友達になりたいとの想いは真摯で
彼女の想いを探る事が雪自身の想いを探る工程へと繋がっていたように思えますよ
雪と仲良くなりたくて、友達になりたくて役に立とうとするナカ。けれど肝心の雪は友達の意味を知らず…
だから雪はナカがどういう人間かを知りつつ、同時に彼女が言う友達の意味も探る事になるわけだ
その過程では人好が言う友達の定義、ナカが身を持って示した友達の為に奮闘する姿は雪の感性を刺激するね
……ただ、武との対決中に勝田ソースへの食欲に負けているのは本当にどうかと思うけど(笑)
家族を喪失した雪にとって横谷家は新しい家族。だから特別を欲した
その意味では家族でないナカに対し特別を求めた今回の雪は人の繋がりを大きく広げる一歩を踏み出したと言えるのかな
また、ケイドロ等における雪のテンパリ具合から、彼女が文化祭という特別な瞬間を楽しんでいたと判るのは良いね
ナカという友達を欲した。文化祭をもっと味わいたいと思った。そうした感情がこれからを彼女に意識させるものとなる、そんな温かさを感じられるEPでしたよ
再起のチャンスはクルミだけじゃなくユズにも与えられたのか
マ組だけを目指していた頃と違い2人には選択肢がある。マ組に挑戦しても普通科に留まっても良い。クラス落ちしたと嘆いていたアニクが普通科で夢を見つけられたように普通科にはマ組にない良さがある
だからこそ二人は簡単に選べない
そう考えるとどれか一つに絞るのでなく全部やると決めたクラス出し物は象徴的
欲張りな考え方だけど、そう決めた事で全部をそのまま出来なくても環状線ピタゴラ焼きそばなんて独自性高い出し物を編み出せた
ならクルミ達も絞るのでなく欲張っても良いかもしれない
マ組に行くと決めるのではなく、思い切って挑戦する。それが再試だったというだけ
クルミとユズは楽しそうだけど、一生懸命再試に向き合っていると伺えるね
ただ、その裏では随分きな臭い陰謀が蠢いているようで…
そろそろ物語も大きく動いてほしいところだけど
敗退のショックを抱える大喜だけれど、日々は彼の為に待ってはくれない。期末試験はあるし練習は続く。それどころか次へ向かう目標を書けだなんて言われる
表面上は現状を受け入れているかに見える大喜も独りの時には別の顔を見せる。特に千夏との差を感じた時は顕著
そんな折に体調を崩したのは流れる時間への反抗心を反映したのかのように感じられたよ
独りだと何処までも落ちていく鬱屈した想い。それに反抗してくれるのは千夏との思い出であり、何よりも本物の千夏が落ち込む大喜の心を引き上げてくれる
普段の大喜はポジティブ傾向が強いけど、大喜が弱ったとき代わりにポジティブに考えてくれる千夏の存在は大喜にとってとても有り難いものだね
でも、千夏と接したからって突然ポジティブに成れるわけじゃないから少しずつ物事の捉え方を変える必要がある
大喜はまだ試合前の約束を果たす気分に成れない。代わりに千夏が話すのは自分が落ち込んだ時の心境、掲げられた遠くの目標への想い
試合前の感覚に引き戻してくれるかのような千夏の「応援するよ」は大喜に苦さも辛さも飲み込ませるきっかけとなるね。控えめな目標になった張り紙を書き直す心構えへと舞い戻れる
と、前に進めそうになった処でふらついた脚が齎した驚きの接触。言葉を発せられない雰囲気で千夏が大喜へと伸ばした指にはどのような想いが籠められているのだろうかとドキドキさせられますよ
強大な力を持つ万象王に対して闇達が助力した事で局面は変わるけど、全てを救うと息巻く千夜には守るものが増えた形
自然と気は散ってしまうから、千夜は守る為の新たな力が必要となる。それがかつて自分を守ってくれた者達から命を頂く選択へと繋がるなんてね…
神雲と道錬は放っておいてもいずれ倒れてしまう。なら、消えゆく命をどう使うかという話になる
野禅が示した選択肢は選べるようで居て選べない代物。それは発想を狭めるものだね
他方で狭まった選択ばかり進めば心は決まる。千夜は飛ぶように戦場へ戻り迷いない心で万象王と向き合うし、師の死を知ったムドも選択の先で己が何をすべきかを定められる
覚悟が決まった2人による超威力の連打は圧巻
巫山戯た言動の猛が幽界で示すのは逆に選択肢を広げる発想かな
茶は毒か嘘か、無の民を救うべきか否か、己は何の為に生きるべきか
他者の調子を狂わす猛の言動はだからこそ定め固めてしまった選択肢を拡充するもの
要は全て自分で決められる、変えられる。己が内の闇に助けられようやく得られた千夜達の発想力は素晴らしいね。また、その至った境地がかつて千夜が願った戦いを遊びに変える道へと繋がったのが何よりも良い
こちらを圧倒し追い詰める無の民という構図は変えられた
ならば次は猛が言うように、無の民すらも救う選択肢へと至る全ての局面を変える話し合いとなるのだろうか