「もし、自分の命の時間があらかじめ決まっていたとしたら」
自分に残されている時間が長くないことを知って人との思い出を残すことを拒んでいたアイラが、やがて最期の時間を幸せに終えるまでのお話。死に方と生き方という終始一貫したテーマを持ち、それに対して明確なメッセージを示す作品。
人間型のロボットということでそのへんを掘り下げるSFなのかなと最初思ったけどそうではなく、ギフティアが寿命以外は人間と何ら違いのない存在として描かれていたのが印象的。ギフティアの食事・睡眠等についてまったく説明しないのもきっと意図的なものなのだろう。そのことで作品の焦点が明確になっているような気がする。
ワンダラーに関する描写は蛇足だったという意見も多いようだけど、個人的には必要だったと思う。あれがなければギフティアの寿命という設定が口先だけのものになってしまうし、ギフティアや周囲の人たちが寿命というものをきちんと受け入れる必要も無くなってしまうだろう。
もうひとつ、キャラクターが優しい人達ばかりなのも印象的でした。都合上出さざるを得なかったと思われる闇回収屋を除いて、いわゆる利己的な人が一人もいなかった。ミチルやカヅキさんはもちろんヤスタカさんや課長など魅力的なキャラクターばかりで、できればその辺りの話も見てみたかった。全体として優しい雰囲気に満ちた、温かい作品でした。