サービス開始日: 2016-04-05 (3598日目)
それぞれ目指すものも考え方も違うし、いつか別々の道を歩むのだろう。だからこそ今この瞬間にみんなが一緒にいて心を重ねてアカペラする奇跡が尊くて。”合わせる”というアカペラの魅力と青春の不器用さや瑞々しさを丹念に誠実に描いた素敵な物語だったなと。
個人的に序盤のメンバーたちの漫才芸がツボだったので後半影を潜めちゃったのが(シリアスになっていくので仕方ないのだけど)少し残念でした。何やらオーディオドラマもあるらしいので摂取してみたい。
凄すぎた…トリガーらしいポップでエッジの効いたデザインワークと外連味のある作画が描き出すダークで殺伐としたサイバーパンクな世界観と刹那的だけどロマンチックな物語とが相まって作品に異様な凄みと没入感、感傷をもたらしていて只々圧倒されるばかり。
個人的に特に刺さったのがヒロインのルーシー。吉成さんのキャラデザは最高だし、クールで大人の色気を感じさせる外面と一途で繊細な女性としての内面を併せ持つ深みのある人格として見事に演じきった悠木碧の演技に惚れ惚れしました。
圧巻の出来。残酷な大地の上で人の業が渦巻き悲しみの雨が容赦なく降り注ぐ中、それでも希望を失わない人々の悲愴の物語を高品質のキャラデザ、作画、演出、音楽、その全てを駆使してドラマチックに描き出す、20年代最高の本格ファンタジーアニメ作品の一つではないかと思います。
唯一気になった点は原作未履修勢の自分にはアニメだけで全体を理解するのはやや難度が高くてwikiなどの情報で補完する必要があったこと。それはそれで楽しかったのですが、やや敷居を上げてしまうかもなと。逆に言うと1周目で物語の全体像を把握してからの再視聴で新たに気づくこと、理解出来ることも細部に色々ありそうでまた楽しめそうです
メンバー間の衝突という人間ドラマの中にアカペラとは何なのかという音楽的に掘り下げた話も絡んできてすごく良かった。以前、絶対音感持ちはトランペットのような楽譜と違うキーの音が出る楽器が苦手という話を聞いたことがあるけどムスブは正にそんな感じなのかな。素人の自分ですらピッチが不安定なボーカルを聴くと不快に感じることがあるしムスブの感じてる気持ち悪さは想像以上なのかも知れない。一方でグルーヴという言葉が出できたようにピッチやリズムの微妙なずれが気持ちよさを産み出すこともあるわけで本当に正解がないというか音楽は奥が深いなと。声という不安定な楽器だけで構成されるアカペラはまさにナマモノで、理想と現実の間の中で折り合いをつけてその時その時の最善手を探さなきゃいけない。なんていうかもう人生そのものみたいだ…。そして、どこを目指すにせよみんなが同じ方向を向いているのが大切ということなのかな。
それにしても、ムスブの音楽に対する想いの強さを考えると妥協して皆に合わせにいくという選択肢はあり得ない気がするし、大学生とかと一緒にやるのが一番いいんだろうなとか思っちゃうけど、とするとその強い拘りを乗り越えて皆とアカペラする(音楽的な)価値を何処に見出すのだろうか。気になる。
あとウタクマコンビは良いですね。二人とも言葉数は少ないんだけど一言一言ゆっくりと噛み締めるように喋るのがなんとも心地がよくて、言葉一つ一つに彼女たちの想いが乗ってるというか誠実さが滲み出ている気がするんだよね。二人とも好き。