「KITARO(6th)/ZERO」 という感じのお話だった。
ゲゲゲの鬼太郎6期を遡った鬼太郎の誕生秘話だと思うけれども、横溝正史テイストの部分があり、子ども向けではない。
鬼太郎のお父さんがカッコよく、お母さんも漫画原作鬼太郎より遥かに美人で、そのあたりは6期っぽい。
水木しげる作品からは戦争漫画「全員玉砕せよ!」等のテイストを感じた。
ラスボスは「Fate/Stay night」の間桐臓硯っぽかった。胸糞悪いところも含めて。横溝正史っぽさもあるキャラではあった。
幽霊が飛び回るのが「インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク(聖櫃)」っぽかった。
イデオンを感じたシーンもあったな。
子ども向けではないけど、映画として楽しめた。
昭和31年の時代背景の描写がまず素晴らしい。
オフィスも汽車の客車内も、咳をしている子供が居ようが関係なくタバコの煙が濛濛と立ち込める、戦後昭和の混沌の空気感。
高速道路もなく、全国津々浦々まで舗装道路さえ整備されていなかった時代、秘境のような村は幾つもあっただろう。そして、有力者の村と屋敷、一族の跡目争い。
となると、横溝正史の得意分野だけど、水木しげるはトリックのある怪奇ミステリーではなく、怪奇現象そのものを社会と融合させる。この世ならざるものを社会の背景に敷く。
この作品は、TVシリーズ第6期をベースにして、ある種、現代的にミステリー化されている。
水木しげるがこのような一大スペクタルを構想したとは思わないが、原作の鬼太郎誕生のエピソードに破綻なく物語を構成して繋げた製作陣に拍手を送りたい。
人間の欲望の醜悪さを極限まで描き、また僅かな希望から立ち上がろうとする人間の善性、精神の破壊と再生、人ならざる者達と人間の関係の在り方とを隠された山村に凝縮させることで壮大で奥行きのある生と死のスケールが表現されていると思う。
人間の主人公に戦争体験を持たせることが、水木イズムの体現にも寄与しているかと。
水木さんの画風を踏まえた背景美術、戦闘シーンの動き、CG表現、どれも現在のアニメーションの作画技術としてハイレベル。脚本と演出も素晴らしい。
キャラデザに関しては、これまで水木作品がアニメ化されたとき、時代を反映したデフォルメがあったので、その踏襲と捉えれば違和感はないし、原作への配慮も感じられた。
水木しげる生誕100年の記念作品として、一流のスタッフによって手掛けられた、十分に力作と言える作品だと思う。
終盤に人が死にまくるまではかなり面白かった。それ以降は超展開すぎて好みではない。
鬼太郎の父親と、彼と出会った人間の青年である水木の話だった。ストーリー、演出、作画、どの点においても非常に完成度が高い作品だったけど、とにかく胸糞悪い要素が多く、登場したキャラクターのほとんどが救いのない悲惨な末路を辿っていた。悪人は勿論のこと、運命に翻弄されてある種被害者とも呼べるキャラクターですら、結果として罪を犯すことになって悲惨な結末を迎え、本当に救いがなかった。多少過激なシーンはあったけど、とにかく展開がきつかった。所々に戦争の悲惨さを表現するような場面があったのはゲゲゲの鬼太郎らしいとは思ったけど、それ以外にも人間の醜悪な部分がとにかく沢山描写されて、これでもかというレベルに胸糞悪い要素全開の作品だった。けど、鬼太郎の父親の過去と水木との交流、そしてラストシーンで鬼太郎の誕生をしっかりと描いてて、タイトル回収する形になってた。胸糞悪い、鬱要素全開の作品だったけど、観て良かったと思う。
ネットでの評判を見て鑑賞
評判通りPG12らしいキツめの因習村で、一定層に人気なのも頷ける感じ
主役2人が良いのはもちろん、糸目の石田彰キャラが期待通りの石田彰だし、紗代さんの種崎さんも良い
ラスボス的人物の胸糞具合すごい
この企画で行こう・映画でやろう!と思った制作陣のセンスもすごい
「ゲゲゲの鬼太郎」は小さい頃にTVシリーズを見てたが,ストーリーは何にも覚えていない。
評判がとてもよいので軽率に観る。
PG12作品であり残酷描写が多少出てきているが,ストーリーは大人向け。
ムラ社会を描写しているように感じられた。
殺人犯の正体がわかったときには「やられた!」と思った。
さまざまな伏線の張り方も良かったし,アニメーションの作りもよかった。
興収が好調なのも納得。
ベースとしては6期鬼太郎のエピソード0って感じだけれども墓場鬼太郎と関連もあり、それらを知ってるとより楽しめるのかな、と思ったり。
とにかく内容が濃くて大満足。
2024/07/08 @Netflix