毎回きっちり盛り上げるなあ。船内の生活を小気味いいテンポで見せていく手際も見事。
キマリが主人公としてとても頼もしい。これ、この四人が揃ってなくて一人だけだったら、もっとつらくてネガティブになっていただろうなあ。「この四人でよかった」と見る側も思えるのが嬉しい。
うーん……。
原作第3巻にはめっちゃ心を揺さぶられたのだが、アニメ版は最後まで淡々と見終えてしまった。原作そのままが無理でも、せめて原作を読んだときの感情を喚起してくれるものがあればよかったのだが。
エピソードの順序を入れ替えて、桂香さんのエピソードを全部今回に持ってきたのは、どういう意図があったのだろう?
原作では、桂香さんや銀子のドラマと八一やあいのドラマが並行して流れつつ時に交差したり時に影響を及ぼしたりしながら一つの物語が紡がれていたのだが、話数ごとに両者をきっぱり分けてしまったことで結合度が弱まり、独立した別々のエピソードのようになってしまっていると感じた。
ベッドに描かれた星空を見つけたあたりから、ずっと泣きそうだった。年月を超えて思いが受け継がれていく話に弱いんじゃよ……。
物語において、登場人物の動機が明確であることは、非常に重要だ。動機があやふやだったり、動機と行動に齟齬があったりすると、受け手はそこに「作劇の都合」を感じてしまい、登場人物を生きた人間とは感じられなくなる。
四人が自己紹介のときに「なぜ南極に行くのか」を口にし、それが得心のいくものであったことは、この作品がここまで彼女達の動機をしっかりと描いてきたということだ。
自己紹介のときに報瀬の背中を押したりと、日向は今回もいい仕事をしていた。花澤香菜さんによる、報瀬のダメダメなレポートのときの演技の上手さに唸る。声の演技だけで笑えるなんてずるい。
今回だけで原作第3巻の約2/3を消化。で、どこをカットするのかと思ったら桂香さん関連のエピソードがほぼ全てカット。あり得ねえじゃろ!?
このまま、自分が原作で一番好きな桂香さんのエピソードがなかったことになったら、自分の中では今回のアニメ化はなかったことにする所存。